写真1●MIRACLE System Savior V2の起動画面
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写真2●ミラクル・リナックス社長の児玉崇氏(写真左)と、台湾国立HPCセンターのSteven Shiau氏(写真右)
写真2●ミラクル・リナックス社長の児玉崇氏(写真左)と、台湾国立HPCセンターのSteven Shiau氏(写真右)
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 ミラクル・リナックスは2012年5月15日、企業向けのシステムイメージバックアップソフトの新版「MIRACLE System Savior V2」(写真1)を発表した。新版では対象システムを拡大し、以前よりも多くの種類のサーバー機やストレージを利用できるようにした。2012年5月28日に出荷する。価格(税込み)は、平日昼間の保守が1年間付いた最小構成で8万1900円。

 MIRACLE System Saviorは、OSやファイルシステムを含めたシステムイメージ全体を丸ごとバックアップすることができるバックアップソフト。ソフトウエアはたった一つのバイナリファイルとして実装されており、Linux上でスタンドアローンで動作する。あらかじめバックアップ対象システムを停止させた状態で、専用の起動用ブートCD-ROMを使ってバックアップソフトを起動する。

 今回のV2では、バックアップ対象システムを拡大した。これにより、より多くの企業やシステムに対して、同ソフトウエアを適用できるようになった。

HP/IBM/富士通のx86機で利用可能に、対象ストレージも拡大

 まず、動作検証によって動作を保証するPCサーバー機を、従来の1社から3社へと増やした。従来版では「HP ProLiant」(米Hewlett-Packard)に限って動作を保証していたが、新たに「IBM System x」(米IBM)と「PRIMERGY」(富士通)も動作保証の対象とした。なお、従来版(2010年3月出荷)は日本ヒューレット・パッカードの依頼を受けて開発したという経緯がある。

 さらに、大規模SANストレージ環境でも利用できるように、扱えるLUN(ストレージボリューム)の数を増やした。従来版では最大で26個までのLUNに限って扱えていたが、新版では26個を超えるLUNを扱えるようにした。またこれとは反対に、2012年9月には、現行版では扱うことができないiSCSIストレージ(小規模SANストレージ)を扱えるようにする。

OSSの「Clonezilla」がベース

 MIRACLE System Saviorは、台湾国立HPCセンターのオープンソースソフトウエア研究室が開発しているOSSのバックアップソフト「Clonezilla」をベースにして、これを企業向けに改造したソフトだ。オリジナルのClonezillaと比べ、企業用途の機能に絞ってこれを強化し、動作を保証している。保守内容に応じて、全6種類の料金体系がある。保守時間は平日通常時間と24時間365日の2種類、保守期間は1年、3年、5年の3種類。これらの組み合わせで料金が異なる。

 ミラクル・リナックスは、MIRACLE System SaviorのベースとなったClonezillaの開発コミュニティにも関与しており、今後もコミュニティとの協業を進めていく(写真2)。一例として、ミラクル・リナックス主導で、ClonezillaのベースOSを、現状のDebianからRed Hat系のFedoraに載せ替える。これにより、MIRACLE System Saviorへの開発投資をClonezillaへとフィードバックしやすくなる。