米Yahoo!は現地時間2012年5月13日、Scott Thompson最高経営責任者(CEO)を解任し、Global Media部門のトップを務めるRoss Levinsohn氏を暫定CEOに任命する人事を発表した。Yahoo!株式の5.8%を保有する大株主の米Third Pointと合意に達したもので、これによりThird Pointが計画していた委任状争奪戦は取り下げられた。Levinsohn氏は即日暫定CEOに就任した。

 またThird Point側は、同社のDaniel Loeb CEOをはじめとする3人を取締役会に送り込むことでもYahoo!と合意に達した。Loeb氏を含む3人は5月16日付でYahoo!の取締役に就任する。これに先立ち、Yahoo!ではRoy Bostock会長を含む4人の取締役とThompson CEOの人選責任者だったPatti Hart取締役が次の株主総会で再選に立候補しないことを明らかにしていたが、これら5人とThompson氏は株主総会を待たずに直ちに取締役を辞任することになった。

 これに伴って新たな会長には、今年2月に取締役会に加わったAlfred Amoroso氏が就任した(関連記事:Yahoo!、Bostock会長と3人の取締役が退任へ)。

 Yahoo!の経営トップをめぐるこの問題は、Third Pointが5月3日にYahoo!に送った書簡に端を発する。この中でThird Pointは、Yahoo!の有価証券報告書などに記載されている「Thompson CEOのコンピュータ科学の学士号」が事実と異なると指摘。Thompson氏はCEOとして不適任とし、同氏とその人選を主導したPatti Hart取締役を解任するよう求めていた。Yahoo!は当初「不注意な誤りがあった」と説明していたが、その後特別委員会を設置し、当時行った調査や情報開示に関する経緯を調べていた。

 Yahoo!では、2011年9月にCarol Bartz元CEOが突如解任され、今年1月には共同創業者のJerry氏が退任するなど経営の混乱が続いており、1月にCEOに就任したThompson新体制の下で経営改革が進められていた(関連記事:米Yahoo!、2000人規模の人員削減、「小さく、機敏で、収益性の高い企業へ」)。

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