写真●日立製作所の中西宏明社長
写真●日立製作所の中西宏明社長
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 日立製作所は5月10日、2012年3月期の連結決算を発表した。売上高は前期比3.8%増の9兆6658億円、営業利益は同7.3%減の4122億円で増収減益となった。当期純利益として3471億円を計上し、2期連続で過去最高を更新した。

 セグメント別では、オートモティブシステム部門や情報・通信システム部門が好調で増収となった一方で、デジタルメディア・民生機器部門の不調が営業減益の要因となった。東日本大震災とタイ洪水の影響で売上高が3200億円、営業利益が950億円、それぞれ押し下げられた。

 2013年3月期は連結売上高9兆1000億円(2012年3月期比5.9%減)、営業利益4800億円(同16.4%増)となる見通し。HDD事業の売却が減収要因となる。

 記者会見した中西宏明社長(写真)は「事業ポートフォリオを見直した影響で(2013年3月期の)売上高は10兆円に届かないが、営業利益率は5.3%、純利益は2000億円を超えるだろう。財務体質を固めて次の投資の自由度を確保したい」と述べ、M&Aを進める考えを示した。

 情報・通信システム部門の2012年3月期の実績は、売上高が前期比7%増の1兆7642億円、営業利益が同30億円増の1017億円となった。国内のサービスや海外のストレージソリューション、コンサルティングが増加し、売上高を押し上げた。

 情報・通信システム部門の2013年3月期の売上高は、2012年3月期比でほぼ横ばいとなる1兆7600億円と見込む。ソフトウエアとハードウエアで減収となるが、ストレージソリューションなどで落ち込みをカバーすると見る。サービスにおけるプロジェクト管理の徹底などで収益性を改善し、営業利益1200億円を計上すると予想する。