SAPジャパンは2012年5月9日、同社のデータベース(DB)事業に関する事業戦略を発表した。インメモリーデータベース管理システム「SAP High-Performance Analytic Appliance」(SAP HANA)を共通プラットフォームと位置づけ、2010年に買収した米サイベースのDBをSAP HANA上で機能するモジュール製品群として販売していく。

 SAPジャパンの安斎富太郎 代表取締役社長は、「用途ごとに乱立する既存のDBのあり方を変える。すべてのデータをSAP HANAの基盤上で一元的に扱えるようにする」と語る。SAP HANAと米サイベースのDBとを連携させ、製品選択肢を広げるのが狙いだ。両社の顧客を中心に、SAP HANAおよびサイベース製DBを売り込んでいく方針。

 米サイベースは「Sybase Adaptive Server Enterprise」「Sybase IQ」など、用途に応じたDB製品群を抱えている。例えば、SAP HANAとDWH(データウエアハウス)向けDBのSybase IQとを連携させる場合、頻繁にアクセスするデータは高速処理ができるSAP HANAで扱い、滅多にアクセスしないデータはSybace IQに格納する、といった運用が可能になる。ビッグデータを効率よく処理できるという。

 SAPジャパンの馬場渉 リアルタイムコンピューティング事業本部長は、同席上で「当社はDB市場に本格的に参入する」と宣言。独SAPのグローバル施策として、SAP HANAの定価切り下げやSAP DB群の採用支援向けファンド(約270億円)、SAP HANAで動作するアプリケーションの開発ベンチャー向けファンド(約125億円)の立上げを実施し、DB事業を推進していくことを併せて発表した。

 SAPジャパンは、SAP HANAなどを販売する同社営業部門にサイベースの営業部門を合流させ、「データベース・テクノロジー営業統括本部」を2012年4月1日付けで創設し、営業体制を強化している。本部長にはサイベースの早川典之 代表取締役社長が就任、60人程度が在籍しているという。