NRIセキュアテクノロジーズは2012年5月9日、ファイルを複数のクラウドストレージに分割保存するオンラインストレージサービス「SecureCube / Secret Share」を機能拡張し、企業間でデータを交換する用途に使えるように、アクセス権限管理機能を強化した。

 従来、SecureCube / Secret Shareは、契約企業が社内だけで利用することを想定していた。企業間でのデータの受け渡しに使うことは想定していなかった。このため、同サービスを利用するための認証手段として、1種類のユーザーID/パスワードしか利用できなかった。

 これに対し、今回の機能強化では、複数のユーザーID(企業コード)を登録し、これらのIDごとにアクセス権限を切り替えて運用できるようにした。権限は、個々の共有フォルダごとに別々に設定できる。これにより、「ある取引先企業から、あるフォルダに対して、読み取り専用でアクセスさせる」といった運用ができるようになった。

複数のクラウドに分割保存

 SecureCube / Secret Shareは、複数のクラウドストレージ(国内のデータセンター事業者7社)に対してデータを分割保存するオンラインストレージサービスである。2010年10月に開始している。分割された個々のデータ欠片が漏えいしても元データを復元できないなど、高いセキュリティを確保できる。また、分割時にデータに冗長性を持たせているため、例えば格納先のクラウドサービスの一つがダウンしていても、データの復元が可能だ。

 ユーザーは、ファイルが分割保存されることを意識することなく、通常のWindowsフォルダと同様に、同サービスにアクセスできる。このための専用のクライアントソフトを用意している。クライアントソフトは、エンドユーザーの個々のクライアントPC(または、中継サーバーとなるファイル共有サーバー)上に導入する。この上で、特定のフォルダにデータをコピーすると、裏でデータを分割し、7カ所のクラウドストレージにそれぞれ格納する仕組みである。

 SecureCube / Secret Shareの利用料金は、容量5Gバイトで、ユーザーあたり月額1700円である。

 なお、SecureCube / Secret Shareと同種のサービスとして、2011年11月には、クラウドストレージに世界6カ所のWindows Azureストレージを利用する「世界分割ストレージサービス」も開始している。同サービスにおいても、今回の機能拡張(ユーザーIDによるアクセス権限管理)を施している。