写真●キーワードによる検索機能などを備える「Google Vault」の管理画面
写真●キーワードによる検索機能などを備える「Google Vault」の管理画面
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 グーグル日本法人は2012年5月8日、法人向けのクラウドサービス「Google Apps for Business」に、文書やメールのデータを保全する新機能「Google Apps Vault」を追加したと発表した。保全したデータは、社員などによる改ざんを受け付けない。このためデータは訴訟の際に証拠文書として提出したり、内部統制監査で業務の遂行状況を検証するために使用したりできる。

 Google Apps Vaultは法人向けGoogle Appsのオプションサービスで、1アカウント当たり月額600円を追加することで利用できる。容量や対象となる文書の範囲に制限はない。保存期限にも制限がなく、Google Appsで用いるあらゆるデータを保全することもできる。システム管理者などには、保全したデータから必要な情報を検索して絞り込む機能などを備えた管理画面も提供する(写真)。

 Google Apps Vaultは、米国版では2012年3月に提供を開始した。米国では、企業が訴訟に関わる際に、証拠として社内文書の提出を求められることが多々あり需要が高いという。背景には、過去の文書データやメールが消去され提出できないと、「証拠隠滅を疑われるなど、訴訟では不利に働く」(エンタープライズ部門の藤井彰人シニアプロダクトマーケティングマネージャー)という事情がある。

 また、政府当局が金融機関を対象に実施する監査や、上場企業に課せられる内部統制監査などにも活用できる。法人向けGoogle Appsは、業務委託先の内部統制状況を証明する「SSAE16/ISAE3402」(SAS70の後継にあたる基準)の監査を取得済み。米グーグルは、Google Apps Vaultも含めてシステムの堅牢性やデータ保全の確実性を証明するため、「ほかにも監査証明の取得に取り組んでいる」(エンタープライズ部門eディスカバリ統括のジャック・ハルプリン氏)という。