富士通は2012年5月8日、製造業の設計、生産、調達などの主要業務を一貫で支援するサービスを発表した。サーバーやパソコン、スマートフォンなどIT機器の事業で培ったノウハウを、富士通が得意とするサプライチェーン管理(SCM)や生産管理のシステムと併せて提供する。売り上げ規模が500億円以上の顧客を対象に売り込み、今後3年間で累計1000億円の売上高を目指す。
「ものづくり革新隊」のサービス名称で、2012年10月に顧客への提供を始める計画だ、会見に臨んだ富士通の産業ソリューションビジネスグループ長 花田吉彦執行役員常務(写真1)は「当社が製造業として培ってきた知見を結集し、日本企業が今後も世界で競争力を保っていけるよう後押ししたい」と説明したうえで、「ITもフルに活用し、ブツ切れになりがちな顧客のプロセス改革を支援していく」とした。
富士通はこのほど本社内に約10人の推進部門を新設。グループを含めた300人規模の人員を活用して新サービスに取り組む。富士通グループの工場で培った生産ラインの設計ノウハウに加えて、製品の企画・設計、調達、物流・配送など、顧客が必要とするプロセスのノウハウを一貫で提供していく。
サービスを利用する顧客には、ノートPCを生産する島根富士通(島根県出雲市)、スマートフォンなどの富士通周辺機(兵庫県加東市)、サーバーなどの富士通ITプロダクツ(石川県かほく市)の国内3工場をモデル工場として公開する。今後、9工場まで拡大していく計画だ。製造業の主戦場は国内から新興国など国外へと移りつつあり、「顧客の海外生産も支援していきたい」(民需ビジネス推進本部の安楽孝本部長)という。