富士通は2012年4月27日、2012年3月期決算を発表した。売上高は前年度比1.3%減の4兆4675億7400万円、営業利益は同20.6%減の1053億400万円で減収減益だった。売上高は4期連続の減収で、2010年3月期から2期続いた営業増益も途絶えた。

自然災害に苦しめられたが第4四半期に回復

 四半期ごとに業績を見ると、振れ幅が大きい。第1四半期(2011年4~6月)は東日本大震災の、第3四半期(同10~12月)はタイ洪水の影響で業績が悪化したという。第1四半期は売上高が前年同期から611億円減少し、営業損益が271億円の悪化。第3四半期も売上高が前年同期から167億円減少し、営業利益が181億円悪化した。

 しかし第4四半期(2012年1~3月)は、売上高が前年同期に対し110億円の増加、営業利益が309億円の改善で、回復に転じた。この四半期では950億円の営業利益を確保し、売上高営業利益率は7.3%を達成した。

 富士通の山本正已社長は、「2012年1月時点で、第4四半期は業績水準をリーマンショック以前に戻す目標を掲げて営業利益1000億円を予想したが、ほぼ達成できた。攻めの構造改革と徹底したリスク管理が実った」と振り返った。構造改革を継続することで「通期で営業利益率5%の達成を早期に目指す」と話した。

ITサービス関連の売上高は前年度比2.6%減

 通年の業績をセグメント別で見ると、ITサービスやIT関連製品などの「テクノロジーソリューション」は売上高が前年度比2.6%減の2兆9349億円、営業利益が同5.2%増の1712億円だった。国内に限ると1.5%の減収で、携帯電話基地局などの投資が増えたものの、金融や公共分野の大型システム案件が減少した。製造業や流通業のIT投資は回復しているという。海外は4.6%の減収だったが、為替差損を除くとほぼ前年並みを維持したという。

 PCや携帯電話などの「ユビキタスソリューション」は売上高が前年度比2.5%増の1兆1542億円と伸びたが、営業利益は同12.1%減の199億円だった。東芝と携帯電話事業を統合したことや好調だったスマートフォンが増収に寄与した。しかしタイ洪水に伴うハードディスク装置(HDD)の調達難や、日本車の生産停滞による自動車ナビゲーション関連の減収などが収益性を悪化させた。スマートフォンでは開発投資を増やしており、費用増の要因になっている。

 半導体や電子部品など「デバイスソリューション」は、売上高が前年度比7.3%の5847億円、営業損益が101億円の赤字(前年度から311億円の悪化)だった。震災やタイ洪水の影響を最も受けた部門で、今回は半導体の岩手工場をデンソーに2012年10月1日付で譲渡する構造改革策も発表した。

2013年3月期は営業利益率3%を予想

 2013年3月期は、売上高が前年度比1.8%増の4兆5500億円、営業利益は同28.2%の1350億円を予想する。営業利益率は3%となる。山本社長は「市況に負けない経営体質を作り、営業利益率5%達成に向けた再スタートの年にする」と話す。

 欧州の債務問題や再び円高に振れている為替など経済情勢は厳しいが、国内の製造や流通などIT投資意欲が高いセクターもあり、特に年後半に業績回復を見込んでいるという。