写真●ソフトバンクの孫正義社長
写真●ソフトバンクの孫正義社長
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 ソフトバンクは2012年4月26日、2012年3月期(2011年度末)決算を発表した。売上高は前年同期比6.6%増の3兆2024億円、営業利益は同7.3%増の6752億円と増収増益だった。経常利益は同10.2%増の5736億円、純利益は同65.4%増の3137億円だった。

 「震災やauからのiPhone発売など移動通信事業が大きな転機を迎えた。100万人、200万人のiPhone解約もあり得ると最悪のシナリオを想定して対策を打ったが、auへの乗り換えは数万人規模で済んだ。想定した中で最高にいい結果だった」(孫正義社長、写真)。

 セグメント別の業績は以下の通り。移動通信事業は売上高が前年同期比10.3%増の2兆1448億円、営業利益が同6.7%増の4292億円だった。データARPU(電気通信事業者の1契約当たりの月間平均収入)が前期比200円増の2510円となり、通信料収入の増加が増収増益の主要因となった。データARPUの増加は、iPhoneの売り上げの好調さがけん引した。

 Yahoo!BBブランドのブロードバンド・インフラ事業の売上高は前年同期比9.6%減の1719億円、営業利益は同20.5%減の343億円だった。アクセス回線までトータルで提供していてARPUの高いADSLから、アクセス回線にNTT東西の光回線を使うARPUの低いFTTHへの乗り換えが進んでいるのが減収減益の理由だ。

 ソフトバンクテレコムの固定通信事業の売上高は前年同期比3.1%増の3676億円、営業利益は同52.5%増の579億円となった。グループ内取引の増加が増収に寄与した。ただし、外販は減収だった。ネットワーク監視やデータセンターなど法人ソリューション収入は増加したが、マイラインなど電話サービス収入の減少を補いきれなかった。増益の要因には、他社の定める接続料の値下げや、おとくライン用通信設備のリース料支払いの終了、おとくラインの新規契約減による販売手数料の減少などを挙げている。

 ヤフーをはじめとしたインターネット・カルチャー事業は、売上高が前年同期比3.5%増の2936億円、営業利益が同4.3%増の1568億円だった。東日本大震災の影響を脱した第2四半期以降に広告収入が拡大したほか、ゲーム関連サービス、情報掲載サービス、Yahoo!ショッピングの売り上げ増が増収増益の主因となった。

 2012年度の目標は営業利益7000億円超え。孫社長は「増収増益には絶対的な自信がある」とした。さらに、2016年度には営業利益1兆円を目指すという。「今まで中長期の目標を公言して下回ったことはないと自負している。強い決意の目標である」(孫社長)と強気に語った。