写真1●サイバー戦略室兼グローバル・ガバメント・リレイションズ室長の本橋 裕次氏
写真1●サイバー戦略室兼グローバル・ガバメント・リレイションズ室長の本橋 裕次氏
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写真2●マカフィーが調査した世界各国のサイバー防衛状況評価
写真2●マカフィーが調査した世界各国のサイバー防衛状況評価
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 マカフィーは2012年4月26日、同社が作成した「サイバー防衛報告書」について記者向けに説明会を開催した。これは、世界各国のサイバー防衛能力を評価したもの。日本は5段階評価で3.5と、ほぼ中間の評価となった。

 今回の「サイバー防衛報告書」は、2012年1月にマカフィーがベルギーのシンクタンクと共同で作成した。世界各国の専門家80人へのインタビューと250人への匿名調査を実施し、米国の元国防次官補であるRobert Lentz氏が作った「リスク/迅速性成熟度モデル」をベースに世界27カ国を5段階で評価した。「世界的に著名なサイバーセキュリティの識者の現状認識」(サイバー戦略室兼グローバル・ガバメント・リレイションズ室長の本橋 裕次氏、写真1)という位置づけである。

 その結果、通常の軍事力とはだいぶ違う評価ランキングとなった(写真1)。最上位の評価5を獲得した国はなく、それに続く評価4.5にイスラエルとスウェーデン、フィンランドが位置づけられた。それに続く評価4のグループにアメリカや欧州各国が並び、日本はそのさらに下の評価3.5となった。

 日本の評価が3.5となった理由について、「サイバー防衛に対する予算が非常に少ないのが課題。GDPに対する割合で見ると米国と11倍の開きがある」(本橋氏)と指摘する。米国は国防総省やFBI/CIAといった組織では他を圧倒する強力な防衛力をもっているが、プライバシーの問題がからむ部分は難しい点がある。発電や送電が3000社に別れているようなインフラも大きな問題で総合的にこういう評価になった」(本橋氏)という。

 日本より評価が低かった国については、中国は「広い国土を守るインフラが整っていない」(本橋氏)として評価3となった。最低評価となったメキシコは「サイバー防衛よりも麻薬の取り締まりの方が重要になっている」(本橋氏)からだという