総務省 北陸総合通信局(局長:齊藤一雅氏)は、「北陸広域観光チャンネルネット構想」の実現に向け、石川県金沢市、同珠洲市、富山県南砺市およびヨーズマーとともに、金沢駅の利用者、観光客および同駅周辺のホテルの宿泊客に北陸の広域的な観光情報番組(データ放送を含む)を配信するためのプロトタイプ的なモデルを構築し、ゴールデンウイークから試験サービスを行う。

 まず、金沢駅東口にエリア型放送の実験試験局を開局し、ワンセグ対応の携帯電話機やスマートフォンで視聴できるようにする。エリア型放送の実験試験局は、駅前のもてなしドーム内に設置する。加えて同駅周辺のホテルの館内共聴システムに配信する仕組みを構築する。ホテル金沢の協力を得て行うもので、「エリア型放送の観光情報番組をホテルの館内共聴システムに配信する試みは国内初」という。

 アンケート調査を通じて、モデルの有効性を検証し、その意義と成果を広く周知・広報していく。北陸総合通信局は、次のステップとしてオール北陸の力を結集する「北陸広域観光チャンネルネット構想推進協議会(仮称)」の設置を目指す。

 2012年2月6日に北陸総合通信局が呼び掛け人となり、金沢市、珠洲市、南砺市、ヨーズマーが参加し、北陸広域観光チャンネルネット構想の準備会議を立ち上げた(関連記事)。今回は、その最初の具体的なアクションとなる。試験サービスの期間は5カ月程度を想定する。

 エリア放送などを通じて、観光情報を流すという取り組みはこれまでも事例がある。北陸広域観光chネット構想では、ハードとソフトの両面で水平展開を試みている点がユニークといえそうだ。今回のモデルで言えば、例えばコンテンツの面からは、複数の自治体が参画し、観光情報を流していく。ハードもエリア放送と館内共聴システムを使うことで、異なる情報環境の観光客に複数のメディアからアプローチできる。金沢駅は、北陸全体の観光の玄関口でもあり、こうした取り組みを契機にして、北陸全体の広域観光連携につなげたい考えである。

 北陸広域観光チャンネルネット構想は、北陸観光の玄関口(ポータル)や域内の観光導線の結節点(ハブ)となる場所(例えば駅や空港など、およびその周辺の観光案内施設、宿泊施設など)に、エリア放送やサイネージ、無線LANなど多様な情報発信の拠点を整備し、相互にネットワーク化するとともに、相互の観光情報コンテンツの有機的な連動を促すことにより、広域観光連携による北陸域内での観光客の周遊性・回遊性の向上と広域観光ブランドの形成を目指す。