写真1●日本マイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の大場章弘氏
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写真2●Metroスタイルを採用したヤマハの音声合成アプリ「VOCALOID」
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写真3●デスクトップアイコンに新着情報を表示する「楽天市場」のMetroスタイルアプリ
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 日本マイクロソフトは2012年4月24日と25日の2日間、都内で開発者向けイベント「Windows Developer Days」を開催した。25日の基調講演では、Windows 8で追加される新しいユーザーインタフェース「Metro」にフォーカス。同社 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の大場章弘氏(写真1)が、Metroスタイルアプリケーションの開発者にとってのメリットや、実行環境のアーキテクチャ、Metroスタイルの先行導入事例を紹介した。

 「Metroスタイルアプリは、開発者にとって、これまでに身につけたスキルを活用しながら、ビジネスの可能性を広げることができるものだ」。大場氏は、開発者にとってのメリットをこのようにアピールした。

 Windows 8には、Metroスタイルアプリ専用の実行環境「WinRT」が実装される。WinRTは、C、C++、C#、VBのほか、HTML+CSS+JavaScriptでの開発をサポートしており、「これらの言語で開発された既存のアプリは、簡単にMetroへ移植できる」(大場氏)とする。また、Metroスタイルアプリのためのビジネスのプラットフォームとして、アプリマーケット「Windows Store」を提供。「開発したMetroスタイルアプリを、世界5億人のWindowsユーザーへ届けるための課金モデルを用意する」(大場氏)。

 Metroスタイルアプリの実行環境WinRTは、「開発者に優しいアーキテクチャになっている」と大場氏は言う。「WinRTは、プレゼンテーション層とロジックが分離している。すなわち、コードとユーザーインタフェースが分かれたアーキテクチャになっている」(大場氏)。このアーキテクチャにより、コードを書くプログラマーとユーザーインタフェースを設計するデザイナーが分業するチーム開発や、アプリケーションのユーザーインタフェース部分だけを入れ替える作業が円滑化する。

 講演では、Metroスタイルの先行導入事例も紹介された。ヤマハの音声合成アプリ「VOCALOID」(写真2)は、二つのアプリを同時に表示する「スナップ」機能、ワンタッチで画面全体を見ることができる「セマンティックズーム」機能などのMetroスタイルに対応した。また、音声合成プラットフォームとしてWindows Azureを利用している。

 Windows Phone向けアプリをMetroスタイルに移植した事例も紹介された。ムビチケが運営する映画の電子前売券システム「ムビチケ」のMetroスタイルアプリは、Windows Phone向けに開発したアプリをMetroスタイルへ移植することで、短い開発工数で作り上げた。こちらも、バックエンドのデータ処理にWindows Azureを利用している。「Windows 8はクラウド接続が前提のOSであり、MetroスタイルアプリはWindows Azureとの連携によってさらなる付加価値を生む」と大場氏。

 楽天も、レシピサイト「楽天レシピ」やECモール「楽天市場」のMetroスタイルアプリを開発。楽天市場のMetroスタイルアプリは、アプリを起動していないときでもデスクトップのアプリアイコンに新着情報が表示される仕様になっている(写真3)。