写真1●日本HP エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括の杉原博茂執行役員
写真1●日本HP エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括の杉原博茂執行役員
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写真2●30日間かかるネットワーク構築を数分に短縮できると主張する
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 日本ヒューレット・パッカード(HP)は2012年4月24日、同社のネットワーク仮想化の仕組みである「Virtual Application Networks(VAN)」を発表した。VANは、HPが用意する「テンプレート」を選択するだけで、アプリケーションに最適化したネットワーク構成を設定できるというもの。同社はこのほか、同社のスイッチ16機種を、ネットワーク機器の新規格である「OpenFlow」に対応させたことなどを発表した。

 日本HPが今回発表したVANは、同社のネットワーク機器管理ツールである「HP Intelligent Management Center(IMC)」のアドオンモジュールである。VANを追加すると、ルーターやスイッチなどネットワーク機器のポリシーなどを、コマンド・ライン・インターフェース(CLI)やスクリプトを使わずに、GUIやテンプレートの適用などだけで設定できるようになる。アプリケーションに最適化したネットワーク構成を実現するためのテンプレートは、HPが用意する。

 同社エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括の杉原博茂執行役員(写真1)は「従来、アプリケーションに必要なネットワークを用意するためには、ネットワーク設計なども含めて30日近くかかっていた。VANを使用することで、その期間を数分にまで短縮することができる」と説明する(写真2)。また杉原氏は、「現在、シスコシステムズの認定技術者が日本だけ10万人もいる。ネットワーク構築に10万人ものエンジニアが必要ということであり、ネットワーク構築に人的コストが重くのしかかっている」と指摘。VANのようなテンプレートベースの仕組みを導入することで、ネットワーク機器の仕様やプロトコルなどに熟知したネットワーク管理者の手を借りずに、アプリケーションの運用担当者がネットワーク管理もできるようになると主張した。

 HPはVANに合わせて、同社のネットワーク機器を外部のプログラムからコントロールするためのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)である「IMC Extended APIs」も追加した。HP以外のサードパーティーもこのAPIを使用することで、HP製ネットワーク機器の運用自動化ソリューションなどを開発できるようになる。

 複数のネットワーク機器を一元管理する仕様として現在、OpenFlowに対する注目が高まっている。HPは2007年からスタンフォード大学とOpenFlowの開発で協力関係にあるといい、2012年2月には同社のスイッチ16機種をOpenFlow対応にしている。「ProVision ASIC」を搭載したスイッチであれば、HPが無償で提供するソフトウエアを追加するだけで、OpenFlowに対応させられる。また将来的には、同社のVANなどのOpenFlow対応も図るとした。