写真1●シスコシステムズ「Cisco AnyConnect」の画面
写真1●シスコシステムズ「Cisco AnyConnect」の画面
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写真2●シスコシステムズのファイアウォール装置「Cisco ASA CX Content-Aware Security」
写真2●シスコシステムズのファイアウォール装置「Cisco ASA CX Content-Aware Security」
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 シスコシステムズは2012年4月24日、従業員が所有するスマートフォンやタブレット端末を業務に役立てる取り組み「BYOD(私物デバイス活用)」を支援する新製品を発表した。新種のファイアウォール装置や、VPNクライアントソフトの新版などである。

 シスコは、スマートフォンやタブレット端末、パソコンなどについて、従業員が個人で購入したものを業務に使う取り組みを、グローバルで実施済みである。「従業員は自分の生産性を向上できる、最新の技術が搭載された端末を使いたがっている」と、米シスコシステムズのジョン・スチュワートCSO(最高セキュリティ責任者)兼グローバル政府・企業セキュリティ担当シニアバイスプレジデントは語る。

 今回、新たに発表した製品は主に四つある。一つは、スマートフォンやタブレット端末で動作してVPN通信を実現するソフトウエア「Cisco AnyConnect」の新版で、Android4.0に対応した(写真1)。iOSやWindowsにはすでに対応済みである。

 二つめは、無線LANアクセスポイント「Cisco Aironet 3600シリーズ」である。802.11nの無線方式に対応。処理性能を向上させ、最高450Mビット/秒で通信可能にした。「今や従業員1人が3台の端末を持つのは当たり前。今後さらに端末が増えることを考えると、企業内通信インフラの性能強化は重要だ」とスチュワートCSOは指摘する。

 三つめは、新型のファイアウォール装置「Cisco ASA CX Content-Aware Security(ASA CX)」である(写真2)。アクセスする端末の種類やユーザー、アクセス元のアドレス、アクセス先、時間帯などに応じて、通信を制御する「コンテキストベースファイアーウォール」機能を搭載する。

 シスコシステムズの木下剛専務執行役員は、「マルチデバイス環境では、種類が違う端末一つひとつを守るのは難しい。ネットワーク側で防御するのが現実的だ」と指摘する。

 四つめは、ポリシー管理サーバーの新版「Cisco Identity Services Engine 1.1」。RADIUSサーバーとしても動作する。新版では、スマートフォンやタブレット端末を遠隔管理するMDM(モバイルデバイス管理)システムと連携する機能を搭載した。

 例えば、ポリシーに違反したスマートフォンを見つけたら、その端末のデータを遠隔消去するようMDMシステムに指示する、といったことが可能だ。現状では、米モバイルアイアンや米エアウォッチなど4社のMDMソフトを使ったシステムと連携できる。

 ASA CXは、2012年夏に出荷を予定する。そのほかの製品はすでに出荷を開始しているという。