NTTPCコミュニケーションズ(NTTPC)は2012年4月23日、同社のビジネス向けクラウドサービス「Biz-agora」を拡充し、メールやストレージ、グループウエアなどからユーザーが必要とする任意のサービスを選択して契約可能なクラウドサービス群「Biz-agora セレクトシリーズ」の提供を開始したことを発表した。主に300~500ユーザー程度の中規模企業をターゲットとしている。
NTTPCでは2011年から、「Biz-agora パッケージシリーズ」として、アクセス回線や各種サーバー(ホスティング)および運用サポートなどをオールインワンで提供する小規模向けクラウドパッケージを100人規模程度の企業ユーザーをターゲットにして販売している。しかし、「もう少し規模の大きなユーザーになると、すでに何かしら社内システムが導入されており、いきなりパッケージを買って全部クラウド化するのは難しいという声が多かった」(同社)。
そこで、セレクトシリーズではより規模の大きい企業ユーザーが自社のIT戦略に合わせて柔軟に社内システムのクラウド化を実現できるよう、サービスを“バラ買い”できるようにしたという。
8種類のクラウドサービスから選択可能
選択可能なクラウドサービスは、「アプリケーション」「プラットフォーム」「ネットワーク」と大きく三つのカテゴリに分かれている(図)。このうちアプリケーションでは、迷惑メールやスパムメール対策、監査機能などを備えた「メール」と、サイボウズ ガルーンを利用する「グループウエア」の二つを提供する。
プラットフォームでは、(1)重複除外やスナップショット機能などを備えた実使用容量課金型のファイルサーバー機能を提供する「ストレージ」、(2)パソコンに加えタブレット端末などからも利用できるWindowsベースの「仮想デスクトップ」、(3)ニーズに合わせてOSや物理/仮想サーバー、ネットワーク機器など2000通り以上の組み合わせから選択可能なクラウド環境を提供する「クラウドコンポーネント」、(4)ユーザーのActive Directory環境と連携してクラウド上の統合認証を実現する「AD認証」---の4種類を用意している。
ネットワークでは、ユーザーの拠点とNTTPCのデータセンターを安全につなぐためのアクセス回線およびVPN接続などを提供する「セキュアコネクション」と、通信事業者のモバイルネットワーク(閉域網)あるいはインターネットVPNを利用して外出先などからのクラウドへのリモートアクセス機能を提供する「モバイルアクセス」の二つが利用可能となっている。
価格は、メールサービスの場合、初期導入費用(1ドメイン名当たり)として31万5000円、メールアドレス/パスワード移行費用(初期費用)として10万5000円などが初期費用として発生する。これに加えて、月額基本料(12万円)やメールアドレス利用料(2Gバイトのメールボックスを備えた1ID当たり525円)といった月額費用を、利用するユーザー数やオプションの種類に基づいて支払う形になる。
NTTPCによれば、ユーザーがクラウドサービスの導入を検討する際の悩みごとの一つとして、トラブル発生時に原因がどこにあるのかを切り分けにくいことが挙げられるという。「回線なのかサービスなのか見当が付かず、すべて別々に契約していれば、通信事業者や機器メーカー、ソフトウエアベンダーなど方々に問い合わせをする羽目になる。Biz-agoraではこれらすべてをワンストップで提供できる点が強みとなる」(NTTPC)。同社では、初年度1000社程度のユーザー獲得を目指すとしている。