写真●World IPv6 Launchに向けた対応を説明するJAIPAの木村孝会長補佐
写真●World IPv6 Launchに向けた対応を説明するJAIPAの木村孝会長補佐
[画像のクリックで拡大表示]

 日本インターネットプロバイダー協会(JAIPA)は2012年4月18日、米Google、米Facebook、米Yahoo!など様々な事業者が参加を表明している「World IPv6 Launch」に関する日本のインターネット接続事業者(ISP)の対応状況を説明した。

 World IPv6 Launchとは、世界のインターネットの運用方針などを管理しているISOCの提唱で、2012年6月6日から恒久的にIPv6アドレスによるインターネット運用を開始し、世界的なIPv6移行の体制を整えようというもの。GoogleやFacebook、Yahoo!など多くのコンテンツ事業者をはじめ、インターネット運用にかかわる様々な事業者が参加を表明している。

 JAIPAはこの日の説明会で、「このまま国内で何も準備しない場合、多くのNTT東西のフレッツ光ユーザーに対して、Webサイト接続に約1秒近くの遅延が生じたり、接続エラーになるといった問題が生じる」(JAIPAの木村孝会長補佐)と指摘した(写真)。原因は、ISPに接続するためのアクセス網として多くのユーザーが使っているNTT東西のフレッツ光サービスが、既に網内の専用サービス(例えばひかり電話やIP放送)などのためにIPv6アドレスをユーザーに割り当てているためだ。

 このため、フレッツ光ユーザーがインターネット上のIPv6対応サイトに接続する際には、いくつかの方法でフレッツ内部へのアクセスとIPv6インターネットへのアクセスを識別し、適切に対応する必要がある。NTT東西では、2011年5~7月にかけて、この対応を可能にする2通りのIPv6インターネット接続オプションを設定した。同問題については、NTT東日本も同日午前中に記者向けの説明会を開いている(関連記事)。

 ただし、この方法も「ISPによって2種類の仕組みがあり、約1万円程度のアダプタを購入するか、またはISPとNTT東西別々に申し込まなくてはならない工事費2100円の『フレッツ・v6オプション』に加入する必要がある。どちらもユーザー負担が重いことから普及には至っていない」(木村会長補佐)。World IPv6 Launchまでに対応ユーザーが急速に増えない限り、別の対処方法が必要ということになる。

 このためJAIPAは、「今後、大半のIPv6未対応ユーザーのために、ISP側でユーザーがIPv6対応サイトに接続しようとしたときの対処策を施しておく必要がある」と指摘した。一つの例として挙げたのが、IPv6アドレスが設定されたWebサイトに接続しても、IPv4アドレスだけをユーザーに返答する「AAAAフィルター」(AAAAとはIPv6アドレスのこと)を、各ISPのDNSサーバーに導入することだ。

 といってもJAIPAは、「すべての国内ISPに強制的にAAAAフィルターを導入することはできない」(木村会長補佐)。また、IPv6インターネットに既に対応済みのユーザーにまでIPv6アドレスを返答しないわけにはいかず、ISPの持っている加入者情報と、DNSの設定情報の連携も欠かせない。さらに、ユーザーに対して、こうした対処策を講じていることや、ネット接続に問題が生じたときに確認すべき設定情報の案内、設定変更ツールの提供といった対策も実施する必要がある。

 こうした状況からJAIPAでは、「5月の連休明けに、各ISPにAAAAフィルターの導入について対応方針を検討、表明することをお願いする。また、その方針を策定するためのガイドラインも会員ISPに配布する予定だ」としている。

■変更履歴
第5段落で「加入料2000円の『IPv6オプション』に加入する必要がある」としていましたが、「工事費2100円の『フレッツ・v6オプション』に加入する必要がある」です。また、第7段落で「NTT東西の持っているフレッツ光ユーザーの加入者情報との連携も欠かせない」としていましたが、「ISPの持っている加入者情報と、DNSの設定情報の連携も欠かせない」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2012/4/19 11:30]
タイトルに「World IPv6 Day」とあったのは、「World IPv6 Launch」の誤りでした。お詫びして訂正します。タイトルは修正済みです。[2012/4/20 19:55]