2011年6月に、「プログラマブルフロー」という名でOpenFlowコントローラーとスイッチを世界初で商用化したNEC。そんな同社は米国サンタクララで開催中のSDN/OpenFlowの一大イベント「Open Networking Summit 2012」(関連記事)においても存在感を示している。2012年4月17日のキーノートセッションには同社の矢野薫取締役会長が登壇(写真1)。豊富なSDN/OpenFlowの導入事例を紹介しながら「SDNはもう準備万端」(矢野会長)と語り、SDN/OpenFlowが商用段階にあることを強調した。
同社のSDN/OpenFlowの取り組みは早く、米スタンフォード大学でクリーンスレートのプロジェクトとして立ち上がったときからかかわっている。GENIやInternet2、JGN-Xなど研究機関との共同研究も2008年から進めており、矢野会長は「NECはSDNのパイオニアである」と強調する。
矢野会長が語るSDNの価値は、「ネットワークがシンプルで、速く、スケーラブルで、オープン」になる点だ。現在、ネットワーク機器はハードウエアからネットワークOS、ベンダー独自のアプリケーションまで含めて垂直統合で提供されているが、OpenFlowはこれらをレイヤーで分離するプロトコルだ。これによってネットワークの世界でもPCと同じオープンな時代が訪れる。
そんな同社のSDN/OpenFlow製品は、学術機関からデータセンター事業者、企業ネットワーク、通信事業者など、10団体以上に導入が進んでいるという。さらに導入前のトライアルも含めれば、その数は100団体以上にのぼるという(写真2)。
例えばデータセンター事業者である米ジェネシスホスティングが導入した事例では、SDNによってフレキシブルなグローバルIPアドレスのアサインが可能になり、従来の60%のグローバルIPアドレスの数でデータセンターの運用が可能になったという。その分、データセンターのグローバルIPアドレスのキャパシティが2倍近くアップした形だ(写真3)。
日本通運が導入した事例では、SDNによってネットワークも含めた仮想化のフレキシビリティが増し、サービス導入までの時間、コストを大幅に抑えることができたという(写真4)。
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