写真1●デモの概要<br>OpenStackをクラウド基盤として、OpenStack Quantumをネットワークコントローラーとして利用。
写真1●デモの概要
OpenStackをクラウド基盤として、OpenStack Quantumをネットワークコントローラーとして利用。
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 米国サンタクララで2012年4月16日(現地時間)に開幕したSDN/OpenFlowのイベント「Open Networking Summit 2012」(関連記事)において、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)がオープンソースのクラウド基盤「OpenStack」のネットワークコントロール機能である「Quantum」を使ったネットワーク仮想化のデモを実施している(写真1)。

 デモの構成は、まずOpenStackによるクラウド基盤を日本国内のデータセンターに用意。ソフトウエアベースのOpenFlowスイッチ「Open vSwitch」(OVS)を日本のデータセンターに加えて米国のデータセンター内の既存のネットワーク環境上に配備する。OpenStack QuantumをOpenFlowコントローラーとしてOVSを制御し、仮想マシン(VM)を稼働させたまま日本から米国の物理サーバーへと移すライブマイグレーションを実施して見せた。

写真2●専用ポータルから、データセンター上にVMやファイアウォール、仮想ネットワークを含む「set1」というブロックを作成する
写真2●専用ポータルから、データセンター上にVMやファイアウォール、仮想ネットワークを含む「set1」というブロックを作成する
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 これらは、すべて専用のポータルから、ほぼネットワーク環境を意識することなく操作できる(写真2)。ポータル画面上でファイアウォールやロードバランサーの有無などクラウド上に作成するVMの構成を選び、ネットワークの接続形態(インターネット経由/VPN経由)、VM上のOSなども選択する。この際、最適なネットワーク帯域は自動的に用意される。

 このようにして日本のデータセンター上にできたクラウド上のVM、ファイアウォールを含むブロックを(写真3)、ライブマイグレーションのメニューを実行することで、IPアドレスなどネットワーク環境を変えることなく、日本のデータセンターから米国のデータセンターへ移せることを披露した(写真4)。日米のデータセンターを、仮想ネットワーク上の一つの仮想データセンターのように扱える格好だ。

写真3●「set1」は左側の日本のデータセンター内に作成
写真3●「set1」は左側の日本のデータセンター内に作成
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写真4●ライブマイグレーションのメニューを実行することで、日本のデータセンター内にあった「set1」が、右側の米国のデータセンター内に移動
写真4●ライブマイグレーションのメニューを実行することで、日本のデータセンター内にあった「set1」が、右側の米国のデータセンター内に移動
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 実はNTTコムは、2012年2月に開催された「NTT R&D Forum 2012」で、米ニシラネットワークスのネットワーク仮想化プラットフォーム「NVP」(関連記事)を用いて、同様にOpen vSwitchを仮想スイッチとして使った遠隔ライブマイグレーションのデモを実施している。

 また同社が6月に開始する予定のネットワーク仮想化サービスでは、「まずはソフトウエアベースのOpenFlowスイッチではなく、ハードウエアタイプのOpenFlowスイッチで提供する予定」(NTTコム)という。同社は様々なネットワーク仮想化の提供手段を検討しているようだ。

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