ネットワーク業界で今、最も注目を集めているキーワードである「SDN」(Software Defined Network)とそれを実現するためのプロトコルである「OpenFlow」。SDNとは、ハードウエアの配置を意識すること無く、ユーザーがプログラマブルにリソースを確保できるようなネットワーク仮想化のコンセプトである。そんなSDN/OpenFlowをテーマにした一大カンファレンスである「Open Networking Summit 2012」(ONS)が2012年4月16日、米国サンタクララで開幕した(写真)。会期は18日までの3日間である。

写真●SDN/OpenFlowの震源地である「Open Networking Summit 2012」が米国サンタクララで開幕
写真●SDN/OpenFlowの震源地である「Open Networking Summit 2012」が米国サンタクララで開幕
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 ONSは、SDNの推進役でOpenFlowのプロトコルの標準化を進める団体「Open Networking Foundation」(ONF)の主催によるイベントで、今回は2011年10月の第1回(関連記事)に次ぐ、2回目の開催となる。

 前回は米スタンフォード大学内のカンファレンスセンターを利用したどちらかといえばアカデミック色が残るイベントだったが、今回は場所をベンダーのカンファレンスが行われることも多いサンタクララのマリオットホテルに移し、規模を拡大。前回の参加者は延べ600人程度だったのに対して、今回は「初日のチュートリアルには500人程度が参加。2日目以降には1000人近くが参加する予定」(事務局)と、来場者も大幅に増える見込みだ。

グーグル、ヤフーなどビッグネームが集結

 SDN/OpenFlowへの注目度を反映するかのように、ONSには業界のビッグネームが一堂に介する。米グーグル、米ヤフー、米ベライゾン、ドイツテレコム、NTTコミュニケーションズ(NTTコム)などのサービスプロバイダー、NECや米HP、米IBM、米シスコ、米ブロケード コミュニケーションズ システムズ、米エクストリーム ネットワークスなどの機器ベンダー、米ニシラネットワークスや米ビッグスイッチネットワークスなどのスタートアップ企業、米ブロードコムや米インテルなどのチップベンダー、学術機関などが名を連ねている。

 日本勢も存在感を見せている。17日と18日の両日の行われるキーノートセッションには、グーグルの Urs HolzleシニアバイスプレジデントやSDNのコンセプトを固めたニック・マッキューン教授に混ざり、NECの矢野薫取締役会長、NTTコムの伊藤幸夫サービス基盤部長が登壇する。NECは世界初のOpenFlow対応コントローラ、スイッチを昨年出荷、NTTコムは本年6月からOpenFlowを用いたネットワーク仮想化サービスを開始予定など、業界の注目を集めている。

 初日である16日は、プレイベントとしてプロダクトマネージャー向け、エンジニア向けのSDN/OpenFlowのチュートリアルセッション、夕方からはブース展示が始まった。

 プロダクトマネージャー向けのチュートリアルセッションに登壇したONFのエグゼクティブディレクターのダン・ピット氏は、「SDN/OpenFlowは、過去20年間のネットワーク業界の中で最も大きな変化であり、最も早いスピードで動いている」と指摘する。SDN/OpenFlowによって、ハードウエアやアプライアンスに閉じ、複雑なプロトコルに縛られたネットワーク機器が、オープンでプログラマブルな環境に変わるメリットを強調した。

 ITproでは、ONSの注目のキーノートや各セッションの話題、ブースの展示内容などを、引き続き現地からお届けする。

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■変更履歴
記事公開当初、会期を「17日まで」としていましたが,正しくは「18日まで」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。 [2012/04/18 13:20]