米電子フロンティア財団(EFF)は現地時間2012年4月16日、国境なき記者団やアメリカ自由人権協会(ACLU)などの擁護団体と協力して、新たなサイバーセキュリティ法案「Cyber Intelligence Sharing and Protection Act(CISPA)」に抗議するキャンペーン「Stop Cyber Spying Week」を実施すると発表した。「セキュリティという名目で市民の自由を犠牲にする法案を否決するよう米国議会に働きかける」としている。

 1週間にわたる同キャンペーンでは、Twitterでハッシュタグ「#CongressTMI」「#CISPA」を付けて、代議員のTwitterアカウント宛てにコメントを投稿するようインターネットユーザーに呼びかける。EFFが作成したオンラインツールで代議員とそのTwitterアカウントを検索できる。またEFFのWebサイトを通じてCISPAに対する異議陳述を議会に電子メール送信することや、SNSあるいは自身のブログでCISPA反対の意思表明を投稿することなども奨励している。

 CISPAは2011年11月30日にMichael Rogers下院議員などが提議した法案で、サイバー攻撃対策や海賊行為防止といったセキュリティ強化のための情報を政府や企業間で共有することを可能にする。米Facebookは、CISPAにより「当社や他の企業は脅威に関する重要な情報をよりすばやく当局から受け取れるようになる」として同法案を支持している。Facebookのほか、米AT&T、米IBM、米Microsoft、米Oracle、米Symantec、米Verizonといった大手通信企業や技術企業、ソフトウエア権利保護団体のBusiness Software Alliance(BSA)、米携帯電話業界団体のセルラー通信工業会(CTIA)、全米ケーブルテレビ電気通信事業者連盟(NCTA)などの団体もサポートを表明しているという(関連記事:Facebook、新サイバーセキュリティ法案を支持、「個人情報は守り続ける」)。

 EFFは、同法案が既存のプライバシー法を否定し、裁判所の命令がなくてもISPやSNSなどがユーザーのやりとりを傍受して、そのデータを政府に提出できるようにするものだと批判している。特に同法案の言い回しが「危険なほど漠然としている」ため、政府がアクセス可能なデータが広範なユーザー情報に及ぶこと、サイバーセキュリティに関係の無い目的でデータが使われる可能性があることなどを懸念している。

[発表資料(1)]
[発表資料(2)]