SNS大手の米Facebookと写真共有サービスの米Instagramは現地時間2012年4月9日、FacebookがInstagramを買収することで合意したと発表した。買収総額は約10億ドルで、Facebookは現金と株式で支払う予定。手続きの完了は2012年第2四半期を見込んでいる。

 Instagramは米スタンフォード大学卒業生のKevin Systrom氏とMike Krieger氏が約2年前に立ち上げた。モバイルデバイスで撮った写真を手軽に加工してオンラインで共有できるサービスで、当初は米Appleのスマートフォン「iPhone」向けのアプリケーションを提供して人気が高まった。今月、米Googleのモバイルプラットフォーム「Android」向けのアプリケーションをリリースした。

 Facebook創業者で最高経営責任者(CEO)のMark Zuckerberg氏は、「単にInstagramのすべてをFacebookに統合するのではなく、Instagramの強みを維持および拡大していく」とし、Instagramを独立した事業として運営する方針を示した。また、Instagramが「Flickr」や「Twitter」などFacebook以外のサービスとも連携することについて、「優れた使用体験の重要な部分でもある」と認め、他のサービスへのサポートを継続する意向を見せた。

 Facebookは、Instagramからノウハウを取り入れ、自社サービスに同様の機能を追加していく一方、InstagramがFacebookのエンジニアリングチームとインフラを活用して成長し続けるよう支援するとしている。

 Zuckerberg氏は、「このように多数のユーザーを抱える製品および企業を買収するのは初めてであり、当社にとって画期的な出来事だ」と述べた。

 InstagramのCEOを務めるSystrom氏は公式ブログへの投稿で「はっきりさせておくべきことは、Instagramはなくなるわけではないということ。Instagramの進化に向けてFacebookと協力し、新機能の追加と、より良いモバイル体験を提供する新たな方法の模索を続ける」と述べている。

 米メディアの報道(Wall Street Journal)によると、Instagramのユーザーは2011年12月時点で1500万人だったが、2012年3月には2700万人に拡大した。Android向けアプリケーションを公開するとさらにユーザーが増え、現在登録ユーザーは3000万人を超えるという。

 なおFacebookは新規株式公開(IPO)の準備を進めており、5月に米NASDAQ市場に上場すると見られている(関連記事:Facebookの上場先はNASDAQ、米欧メディアが報道)。

[発表資料(Facebookのプレスリリース)]
[発表資料(Instagramの公式ブログ)]