日本オラクルは2012年4月6日、中堅企業向けERP(統合基幹業務システム)パッケージ「JD Edwards EnterpriseOne(JDE E1)」の新版9.1を出荷開始した。製造業向けに製品ごとの生産履歴管理(製番管理)を可能にしたほか、エンドユーザーがERPのデータを使ってレポートを作成できる機能を追加した。

 JDE E1 9.1ではProject Manufacturing機能を追加。製番管理と呼ばれる、製品番号を使った生産管理を可能にした。受注から生産・購買、在庫、出荷、会計までのJD Edwardsが持つ機能を串刺しする形で、製品ごとに履歴をトラッキングできる。

 この機能を使うと、「製品に問題が発生した場合に、それがどの工場のどのラインで作られ、どこに発注した部品を使ったかなどを遡って確認できる」と米オラクル JD Edwards担当グループバイスプレジデントのライル・エクドール氏は話す。受注や調達、計画、在庫などの状況は統一した画面で参照できる。

 レポート作成機能としては、「JD Edwards EnterpriseOne OneView Reporting」を追加した。財務、在庫、購買、製造といった10種類のモジュールを対象に、178種類のレポートライブラリや1004個のレポート用コンポーネントを使ってエンドユーザー自身がレポートを作成できる。ミドルウエア群「Fusion Middleware」の一つである「BI Publisher 11g」を利用している。

 JDE E1 9.1ではほかに、プロジェクト売り上げ予測、不動産管理の資産管理、原産国管理、グローバル・ロケーター・ナンバー(GLNコード)といった機能を強化した。日本で2012年3月に発表した次世代ERP製品「Fusion Applications」(関連記事:オラクルの「Fusion Applications」が日本デビュー、SaaSで人材管理とCRM)の人材・報酬管理とも連携できるという。

 同社は2012年2月に、JDE E1の技術基盤の新版「JD Edwards EnterpriseOne Tools 9.1」を発表済み(関連記事:iPad並みの操作性を実現、日本オラクルが中堅向けERP強化)。今回は、この基盤で動作するアプリケーション部分の強化を図った。