日本通信がMVNO(仮想移動体通信事業者)として携帯電話事業者から通信設備を借りる際に支払う接続料を巡り、NTTドコモともめていることが分かった。ITUクラブが5日開いた定例会の講演で三田聖二社長が明らかにした。「ドコモの接続料は契約違反。場合によっては訴訟も辞さない」(三田社長)としている。

 同社関係者によると、ドコモは10年度のデータ通信の接続料から新しい算定方式を導入したという。「NDA(守秘義務契約)があるので算定方式の詳細は明らかにできないが、接続料が高くなる方式に変わった」(日本通信 幹部)ため、ドコモが10年度接続料を公表した昨年初めから抗議している。ドコモは11年度の音声の接続料を1月に公表したが、データ通信の接続料は未公表。接続料は3月までに公表するのが通例だが、異例の遅さとなっている。

 日本通信は2006年11月にドコモに相互接続を申請したが、交渉が決裂して総務大臣の裁定を仰いだ経緯がある。この結果、「原価+適正利潤」でドコモの通信網を借りる権利を勝ち取り、2008年8月にようやくサービス開始にこぎつけた。そこで合意した算定方式を「勝手に変えるのは契約違反」というのが日本通信の主張だ。

 日本通信はイオンやヨドバシカメラ、丸紅などと組んでドコモ回線を活用した独自のデータ通信サービスを展開中。三田社長は「接続料はMVNOのライフライン(生命線)」としており、今後公表される11年度接続料も同じ算定方式を使っていた場合は、契約違反でドコモを訴えるとした。