写真●京都からのライブ中継を行ったラリー・エリソンCEO
写真●京都からのライブ中継を行ったラリー・エリソンCEO
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 米オラクルのラリー・エリソン最高経営責任者(CEO)は2012年4月5日、開催中のイベント「Oracle OpenWorld Tokyo 2012」で基調講演を行った。エリソン氏は、「Exadata」などハードとソフトを統合して提供する同社の手法が、「iPhone」「iPad」が好調な米アップルと同じものであるとし、「これこそが未来のコンピューティングの姿だ」と強調した。

 Oracle OpenWorld Tokyo 2012は、4月4日から東京・六本木で開催している。エリソン氏の基調講演は、同氏の別宅がある京都からのライブ中継だった(写真1)。エリソン氏は講演のほとんどを、ハードとソフトを組み合わせた「Oracle Engineered System」に関するアピールに費やした。

 オラクルはこれまで、データベース用の「Oracle Exadata Database Machine」、アプリケーションサーバー用の「Oracle Exalogic Elastic Cloud」、データ分析用の「Oracle Exalytics In-Memory Machine」といったEngineered System製品群をリリースしている。エリソン氏はEngineered Systemの特徴について「世界最高の性能というだけでなく、世界で最も安い」と主張する。

 Engineered Systemのハードウエアは、SPARCプロセッサを搭載する「SPARC SuperCluster T4-4」を除き、いずれも「汎用的なプロセッサとメモリー、フラッシュストレージをベースにしている」(エリソン氏)。それらのコンポーネントを大量に並列化し、高速なInfinibandインタフェースで接続。さらに「新しい並列ハードに合わせて、仮想マシンやOS、データベース、ミドルウエアといったソフトも作り直し、並列化することで、高いパフォーマンスを実現している」(同)。

 Engineered Systemのビジネスは好調で、2012年度は年間10億ドル相当の売り上げを見込んでいるという。エリソン氏は「世界の大型コンピュータの中で、最もビジネスの伸びが速い」と強調した。

 エリソン氏は、ハードとソフトを統合したEngineered Systemが、25年来の親友だという故スティーブ・ジョブズ氏のアイデアと同じだと述べた。「ジョブズ氏がアップルに復帰した直後に、彼と一緒に散歩をした。その時、ジョブズ氏は『米マイクロソフト、米インテル、米ヒューレット・パッカードなどが作ったPCの世界は、利害関係が複雑で、意思決定が難しく、優れた製品を作り出すのが難しい。1社だけで、ソフトもハードも開発し、オンラインサービスも手がけたらどうなるだろうか』というシンプルなアイデアを話してくれた。このアイデアを実行した結果、アップルの時価総額は5000億ドルを超えるまでになった。アップルは、マイクロソフトやインテル、HPよりも少ない研究開発予算で、この偉業を成し遂げた。これこそが、オラクルの戦略だ」(エリソン氏)。