インターネットイニシアティブ(IIJ)とACCESSは2012年4月5日、SDN(Software Defined Network)を使ったネットワーク管理を実現する、クラウドサービス向けの基盤ソフトウェアを開発する合弁会社、「ストラトスフィア」を設立した(発表資料)。2012年6月にも第1弾のソフトウエアのβ版をリリースし、将来的には2社の販売チャネルを経由して、データセンター事業者や通信事業者、大規模なEC事業者などを対象に販売するという。SDNを実現するための制御技術には、OpenFlowプロトコルなどを活用する。

 SDNはネットワークをソフトウエアのプログラミングで制御するコンセプトの総称で、OpenFlowプロトコルはSDNを実現するための制御技術の一つである(関連記事)。ストラトスフィアでは経路制御などの計算処理を担うOpenFlowコントローラーのほか、OpenFlowコントローラーの指示を受けてフレームを転送するソフトウエアベースのOpenFlowスイッチも開発する。OpenFlowを使ったSDNの提供形態には様々なものがあるが、ストラトスフィアではサーバーなどのノード上にあるソフトウエアのOpenFlowスイッチをトンネルで結ぶ「オーバーレイ方式」を採用する予定。そのほか、管理用のGUI、認証など様々な機能も開発・提供する見通しだ。すべてのソフトウエアを一から開発するわけではなく、既存のオープンソースソフトウエアをベースに、足りない機能については自社開発する方針だという。

 以上のような機能を備えるIaaS向けの基盤ソフトウエアは、2012年6月までにβ版をリリースし、秋までに商用化する予定。併せて、このIaaS向け基盤ソフトウエアと連携するPaaS/SaaS向けの基盤ソフトウエアの研究開発も進める。2012年度内には、クラウド環境全体を包括的に制御できるソフトウエアの提供を目指す。

 なお、IIJはすでに自社で「IIJ GIO」というクラウドサービスを提供している。ストラトスフィアが開発するソフトウエアに関しては、「IIJ GIOへの提供も視野に入れて開発するが、具体的な導入時期などはまだ決まっていない」(IIJ広報)としている。