写真1●HP t610 PLUS Thin Clientの外観
写真1●HP t610 PLUS Thin Clientの外観
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 日本ヒューレット・パッカードは2012年4月5日、シンクライアント端末の最上位機種として、AMD Fuson APUの採用によって3次元グラフィックス能力や動画再生能力を高めた「HP t610 Thin Client」(t610)を販売開始した(写真1)。価格(税込み)は、最安価モデルで4万4100円など。

 t610は、デスクトップに設置する省スペース型のシンクライアント機器である。ネットワークを介して、リモートにあるWindows OSのデスクトップ画面を操作できる。画面情報端末プロトコルとしては、Windows標準のRDP、米Citrix SystemsのICA、米VMwareのPCoIPなどを利用できる。別途、キーボード/マウスとディスプレイを接続して利用する。

 最大の特徴は、3次元グラフィックス処理を高速に実行するGPU「AMD Radeon HD 6320」を搭載したこと(同GPUとCPUを統合した「AMD Fusion T56N」を採用)。これにより、例えば、WMVの動画ファイル(1080p)をシンクライアント側でデコード再生する能力が、従来モデル「t5740e」の約1.6倍に向上したという。ディスプレイ出力ポートはDVI-I×1およびDisplay Port×1の2画面で、最大出力解像度は2560×1600ドットである。

 セキュリティや機能拡張性などの需要に合わせて、性格が異なる4種類のOS/ファームウエアを用意した。(1)Linuxベースの高機能OS「ThinPro」搭載モデル(ストレージとなるフラッシュメモリー容量は1Gバイト)、(2)Linuxベースのファームウエア「Smart Client」搭載モデル(1Gバイト)、(3)Windows Embedded Standard 2009(W2009)搭載モデル(2Gバイト)、(4)Windows Embedded Standard 7(WES7)搭載モデル(16Gバイト)---である。W2009とWES7搭載モデルについては、有線LANに加えて無線LANが使えるモデルも用意する。

 WES7搭載機をベースにしつつ、外付けのグラフィックスボードなどを装着できるようにI/O拡張性を高めた上位機種「HP t610 PLUS Thin Client」(t610 PLUS)も用意した。PCI Expressバスにグラフィックスカード「AMD FirePro 2270」を装着した最上位モデル(価格は8万1900円)では、標準で備えるディスプレイ出力ポート(2系統)と合わせて、合計で4画面の同時出力ができる。