写真1●最上位機種「Pronto 3920」(10GbE×48、アップリンク40GbE×4)の外観
写真1●最上位機種「Pronto 3920」(10GbE×48、アップリンク40GbE×4)の外観
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写真2●エヌ・シー・エル・コミュニケーション代表取締役社長の関根尚氏
写真2●エヌ・シー・エル・コミュニケーション代表取締役社長の関根尚氏
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 エヌ・シー・エル・コミュニケーション(NCLC)は2012年4月5日、価格の安さをうたうToR(トップオブラック)用途のL2/L3スイッチ「Pica8 Pronto」シリーズ(写真1)を販売開始した。4月18日に出荷する。価格(税別)は、最上位機種(10GbE×48、40GbE×4)が154万5000円であり、「Ciscoなら定価で約940万円の製品に相当する」(同社)としている。開発会社は、米Pica8。

 Prontoは、ラック内のサーバー機を収容してラック外部と通信するToR用途の、多ポート収容型のL2/L3エッジスイッチである。特徴は二つある。一つは、業界標準のハードウエアをアジア企業によるODM(相手先ブランドによる設計/製造)で調達することで、ハードウエアコストを低く抑えたこと。もう一つは、ソフトウエア部分にOSS(オープンソース)を全面採用したこと、である。「ソフトウエアのOSS化を進め、ネットワーク機器のコモディティ化を推進する」(代表取締役社長の関根尚氏、写真2)。

ハード/ソフト両面でコモディティを追求

 ハードウエアは、「他社の競合製品と同じASIC(特定用途向けIC)を使っているため、まったく同じ性能になるもの」(同社)を用意した。具体的には、CPUに米Freescale Semiconductorのチップを、ネットワーク通信処理に使うASICに米BroadcomのTrident+を採用した。「スイッチ機器のハードウエアはすでにコモディティであり、差異化が図れなくなっている。いかに安く調達するかが重要」(同社)という。

 ソフトウエア部分は、Linuxカーネルの上に、L2/L3ネットワーク機器の開発用ソフトとして米Pica8がOSSで公開している「XORPlus」を搭載した。XORPlusは、OSSの「XORP」(Extensible Open Router Platform)をベースに米Pica8がデータセンター向けに機能拡張したもの。機能拡張のポイントは、L3(IPベース)でのマルチパス通信のためにOSPF/ECMPを実装したことと、OSSのOpenFlowスイッチソフト(Open vSwitch)を同こんしたことである。

 現状では、L2でのマルチパス通信(ファブリック)機能などは含まない。ソフトウエアのアーキテクチャーとしては、必要に応じて各種の機能をアドオンできるようになっている。また、ソフトウエア部はすべてOSSとして公開しているため、CPU/ASIC用のSDK(ソフトウエア開発キット)を入手すれば、ユーザー企業みずからソースコードを編集/記述してクロスコンパイルすることで、機能を拡張できる。

4機種を用意、サポートは別途有償

 製品は全4機種を用意した。それぞれの名称と概要は、以下の通り。(1)「Pica8 Pronto 3290」は、GbE×48ポート(アップリンク用が10GbE×4ポート)で、32万3000円。(2)「同3295」は3290の電源を二重化した製品で、35万6000円。(3)「同3780」は、10GbE×48ポートで、121万2000円。(4)「同3920」は、10GbE×48ポート(アップリンク用が40GbE×4ポート)で、154万5000円。

 サポートサービスは、別途有償。最安価の「ブロンズ」は、メールサポート(平日)と、センドバック(修理後返却)で、年額5万4000円。最も高額な「プラチナ」は、電話サポート(平日)とメールサポート(平日)と、24時間365日のオンサイト機器交換で、年額7万80000円。