米Facebookは現地時間2012年4月3日、米Yahoo!が同社を相手取って起こした特許侵害訴訟に対する反訴を申し立てた。Facebookがカリフォルニア州北部地区サンフランシスコの米連邦地方裁判所に提出した訴状が文書共有サイト「Scribd」で公開されている。

 Yahoo!は3月12日に、Facebookを特許侵害でカリフォルニア州北部地区サンノゼの連邦地方裁判所に提訴した。Yahoo!は「Facebookがベースにしている多くの技術に関して、それを最初に発明したのは当社である」と主張し、広告モデル、プライバシー設定、カスタマイゼーション、メッセージング、ソーシャル機能に関連する10件の特許が侵害されたとしている(関連記事:Yahoo!がFacebookを特許侵害で提訴、大手ソーシャル企業間で初めて)。

 FacebookはYahoo!の訴えに対して「Yahoo!が主張するいずれの特許も侵害していないし、侵害したことはない」と否定し、問題とする特許は無効であるか、あるいは強制力がないものだと反論した。さらに、Yahoo!のホームページをはじめ「Yahoo! Sports」「Yahoo! Finance」「Flickr」などさまざまなYahoo!サービスにわたる広告表示やコンテンツのパーソナル化において、Facebookの10件の特許を侵害していると主張。損害賠償と訴訟費用の支払いをYahoo!に命じるよう、裁判所に求めている。

 複数の米メディアの報道(Wall Street JournalNew York TimesInfoWorldなど)によると、Facebook法務顧問のTed Ullyot氏は今回の反訴について「われわれは自身の特許を主張すると同時に、一パートナーを攻撃して革新より訴訟を優先するYahoo!の近視眼的判断に対してこの行動を起こしている」と述べている。なおFacebookが主張する10件の特許のうち、Facebookによる発明は2件だけで、それ以外は米IBMなど他社から買収したものとみられる。

 Facebookは2月1日に上場申請の書類を米証券取引委員会(SEC)に提出しており(関連記事:FacebookがIPOを申請、目標調達額は最大50億ドル)、まもなく新規株式公開(IPO)を実施すると見られている。Yahoo!が上場間近の企業を訴えるのはFacebookが初めてではない。2004年に、子会社Overtureの広告販売関連の特許を侵害されたとして米Googleを訴えた。両社はGoogleが上場する約10日前に和解で合意している(関連記事:米Googleが米Yahoo!と2件の訴訟で和解に,Class A普通株で和解金を支払う)。