写真●2012年度の事業戦略を説明するレッドハットの廣川裕司社長
写真●2012年度の事業戦略を説明するレッドハットの廣川裕司社長
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 レッドハットは2012年4月3日、2012年度(2012年3月~2013年2月期)の事業戦略説明会を開催した。同社の廣川裕司社長(写真)は、「今後はLinux以外の事業にも注力する」と語り、「KVM」などの仮想化事業や2011年に買収した「Gluster」などのストレージ事業などの強化を図ると説明した。

 レッドハット米国本社の売上高は、2011年度(2012年2月期)が11億3000万ドル(前年度比25%増)で、オープンソース企業として初めて売上高が10億ドル(1ビリオンドル)を超えた。ただし売り上げはまだLinuxに偏っている。同社のサブスクリプション売り上げ9億6560万ドルのうち、「7割を『Red Hat Enterprise Linux』、2割を『JBoss』、1割をその他が占めている」(日本法人の廣川社長)。さらに日本の場合、Linuxの売り上げが全体の85%に達するという。

 レッドハットは4年後の2016年までに、売上高30億ドルを目指す。そのために2012年度は、Linux以外の売り上げを2倍以上に伸ばす。注力する分野は4つ。(1)「JBoss」を中心とする「SOA・ミドルウエア事業」、(2)仮想マシンのKVMや仮想化管理ソフトの「RHEV」などの「仮想化事業」、(3)パートナーとの提携などによる「クラウドコンピューティング事業」、(4)スケールアウト型ストレージソフトであるGlusterを中心とした「ストレージ事業」---である。

 期待が大きいのはストレージ事業だ。「現在、サービスプロバイダーがクラウドを構築する費用のうち、40%をストレージが占めている。ストレージコストに頭を悩ますサービスプロバイダーにGlusterを売り込む」(廣川社長)。

 Glusterは、複数台のPCサーバーの内蔵ディスクを連動させて、巨大な分散ストレージを構築するソフト。高価なストレージ装置を使わずに、大容量ストレージを実現できる。また、ユーザー企業がGlusterを使用することで、ユーザー企業の社内にあるPCサーバーで構成した分散ストレージと、クラウドの仮想マシンで構成した分散ストレージを単一の名前空間で利用可能にすることもできる。

 米レッドハットは2011年秋に、Glusterの開発元である米グラスターを買収した(関連記事:米RedHatが分散ストレージを開発する米Gluster社を買収)。レッドハットの廣川社長は、「日本でも複数のサービスプロバイダーが、オープンソースソフトウエア(OSS)版のGlusterの検証を始めている。日本における市場規模も大きい」と期待感を示した。