米コンテンツ制作業界と米大手ISPの著作権侵害撲滅対策に関する合意に基づいて設立された組織Center for Copyright Information(CCI)は現地時間2012年4月2日、執行役員として消費者保護および著作権の専門家であるJill Lesser氏を任命したと発表した。また諮問委員会のメンバーも明らかにした。

 米国レコード工業会(RIAA)および米国映画協会(MPAA)を含む音楽、映画、テレビ制作業界と米AT&Tや米VerizonなどのISPは昨年7月、著作権侵害撲滅に向けて協力することで合意し、インターネットユーザーの不正コンテンツ入手を警告する共通システム「Copyright Alert System(CAS)」を導入する計画を発表した(関連記事:映画・音楽業界と大手ISP、著作権侵害撲滅システムで協業)。

 CASでは、インターネットアカウントがコンテンツの不正ダウンロードに使われている疑いがある場合に、当該アカウントを所有するユーザーに電子形式で通知する。通知を受けたユーザーには、指摘された不正行為が事実か間違いかを検証する機会が与えられる。

 CCIは、CASの導入促進と消費者教育の枠組み策定を進めるために2011年9月に結成された。Verizon法務顧問代理兼副社長のThomas Dailey氏が執行役員会会長を務める。CCIに参加するISPはAT&TとVerizonのほか、米Cablevision Systems、米Comcast、米Time Warner Cableなどが含まれる。

 Lesser氏は、表現の自由を擁護する団体People for the American Way(PFAW)で市民メディアプロジェクト担当ディレクターと公共政策担当ディレクター代理を経験し、米AOL Time Warner(現Time Warner)の国内政策担当上級バイスプレジデントなどを務めた経歴を持つ。プライバシー擁護団体Center for Democracy and Technology(CDT)の役員でもある。

 諮問委員会のメンバーは、CDT創設者であるJerry Berman氏、デジタル権利擁護団体Public KnowledgeのGigi Sohn代表、インターネットの安全性維持を目指す非営利団体iKeepSafe.orgのJules Polenetsky会長、プライバシー擁護団体の共同議長であるJules Polenetsky氏などで構成される。

 またCCIは、警告を受けたユーザーとISPとの間で発生する争議を審査する外部組織として、引き続き米国仲裁協会(AAA)を採用することを明らかにした。

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