講談社、集英社、小学館など出版社11社が発起人となった
講談社、集英社、小学館など出版社11社が発起人となった
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 講談社、集英社、小学館など出版社11社は2012年3月29日、共同で発起人となり書籍のデジタル化を支援する新会社「出版デジタル機構」の設立を発表した。電子書籍の普及を本格化させるため、電子化のノウハウや資金が不足している中小の出版社などを支援し、コンテンツ数を増やすことを狙いとする。5年後に100万点の電子コンテンツを流通させ、2000億円の市場創出を目指す。

 電子書籍が本格的に普及しない大きな要因としては、紙の書籍と比べてコンテンツ数が圧倒的に少ないことがある。出版社がコンテンツを増やせない要因には「中小の出版社には電子化のコストとノウハウが不足している」(東京電機大学出版局局長で同機構の代表取締役に就任した植村八潮氏)ことがある。そこで、同機構は書籍のデジタル化に関する技術面とコスト面を含めた支援をする。サービスの名称は「パブリッジ(pubridge)」。すべての端末、書店、出版社を結ぶ架け橋という意味を込めた。設立に当たっては11社のほかに260の出版社に賛同を得たという。

 電子化したコンテンツをどのような形で販売するかは各出版社にゆだねる。米アマゾンが国内で電子書籍サービスを提供すると言われているが、「各出版社のビジネス展開で組む事業者は国内国外でこだわらない」(植村氏)という立場を取る。

 発起人の一社で同機構の取締役に就任した講談社の野間省伸社長は「電子書籍元年と言われてから2年が経過した。現在、講談社ではスマートフォン向け電子書籍コンテンツの数が従来の携帯電話向けを上回り、明らかに変わってきたと感じている。今回の機構では、大手から専門書を扱う出版社まで賛同しており、一気にコンテンツ数を増やせるのではないか」と期待を込めた。