米Gartnerは現地時間2012年3月27日、同年の全世界におけるSaaS(Software as a Service)の売り上げが145億ドルとなり、前年の123億ドルから17.9%増加するとの推計を公表した。SaaSは今後も堅調に推移し、2015年には221億ドルに達すると予測している。

 Gartner調査ディレクターのSharon Mertz氏は、「SaaS型サービスの認知度向上、IT予算の抑制、PaaS(Platform as a Service)開発者コミュニティーの成長、人々のクラウドコンピューティングへの興味といった要素が普及を後押ししている」と述べている。

 地域別に見ると、北米市場の売り上げが前年の78億ドルから91億ドルに、西欧は前年の27億ドルから32億ドルに拡大する見通し。また、アジア太平洋地域(日本を除く)は7億3000万ドルから9億3000万ドルに、日本は4億2000万ドルから4億9000万ドルに、中南米は3億3000万ドルから4億1000万ドルに達するとGartnerは予測している。

 このうち北米市場が最も成熟した市場だが、ほかの地域と同様に経費管理、金融、電子メール、オフィススイートといった用途で導入が多い。北米では従業員が広範囲に分散しているという事情があるためWeb会議の導入も進んでいる。

 日本は、CRMや電子メール/グループウエアが2015年までけん引役になるとGartnerは見ている。日本では、東日本大震災を受けてSaaSへの関心が高まっているが、まだ多くの企業がデータセキュリティのリスクや、費用対効果、既存システムとの連携の難しさといった点で懸念を抱いているとGartnerは分析している。

 このほか、アジア太平洋地域は成熟国と新興国が混在している市場だが、北米市場などと同様にERP、電子メール、オフィススイートなどの需要が高い。最も導入が進んでいるのは会計アプリケーションで、この傾向はとりわけインドと中国で高いという。

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