オーストラリアの公正取引委員会にあたる競争消費者委員会(ACCC)は現地時間2012年3月27日、米Appleが新しい「iPad」に関して誤解を招く宣伝を展開したとして、同社をオーストラリア消費者法(ACL)違反で提訴する意向を明らかにした。

 ACCCの主張によると、Appleは新iPadの宣伝で、Wi-Fi接続と第4世代(4G)と呼ばれるLTE高速通信方式に対応したモデル(Wi-Fi+4Gモデル)がSIMカードを使って4Gネットワークに接続できるとしているが、これは事実に反しているという。

 ACCCは3月28日にメルボルンの連邦裁判所に訴訟を申し立てる予定で、消費者が機能を正確に認識できるよう早急な対策を求めている。また、販売差し止め、罰金、修正広告、払い戻しなどを含む最終命令を下すことを裁判所に要求するとしている。

 米メディアの報道(Wall Street Journal)によると、オーストラリアでは国内大手キャリアのTelstraがLTEネットワークを一部地域で展開しているが、周波数帯の関係からiPadのWi-Fi+4Gモデルで高速データ通信は行えない。

 なお、AppleのWebサイトでは、新iPadのLTE通信について「米国では米AT&TおよびVerizonのネットワーク、カナダではカナダBell、Rogers、Telusのネットワークのみ対応する。詳細については通信事業者に確認すること」との注釈が掲載されている。

 新iPadは従来機種の「iPad 2」より解像度が4倍高い「Retina」ディスプレイを採用し、クアッドコアのグラフィックスを搭載した独自開発の「A5X」プロセッサを内蔵する(関連記事:Appleが新iPadを発表、Retinaディスプレイ搭載でLTEをサポート、3月16日発売)。米国、日本、カナダ、オーストラリアなどで3月16日に発売され、3月19日時点で300万台以上を販売した。

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