NECパーソナルコンピュータの群馬事業所
NECパーソナルコンピュータの群馬事業所
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デスクトップパソコンの修理風景
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ノートパソコンを修理する作業場。棚の上には点検作業中の製品が並ぶ
ノートパソコンを修理する作業場。棚の上には点検作業中の製品が並ぶ
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点検作業には専用のツールを使い、ドライブの読み書きや負荷をかけるテストを実行する
点検作業には専用のツールを使い、ドライブの読み書きや負荷をかけるテストを実行する
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倉庫には大量の修理用部品を格納している
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 NECパーソナルコンピュータは2012年3月26日、同社のパソコン修理拠点である群馬事業所を記者に公開した。顧客満足度を向上させるため、同社は2011年10月から修理期間を短縮する取り組みを進め、1日修理の体制を整えた。配送の期間を含めて最短3日でユーザーの手元に修理品を戻す。修理行程の見直しやシステムを改善することで作業を短縮した。

 群馬事業所が修理を受け付ける地域は東北と関東の1都15県。1カ月に約6000台を修理する。対象は個人ユーザーと、保守契約を結んでいない中小規模の法人ユーザーだ。

 「ユーザーがパソコンを使えない時間をいかに短くするか。確実に直すことができるかと。この2つが満足度を高めるための大事なポイント」(土屋晃 保守サポート事業部長)と説明する。作業時間を短縮しながらも、修理の品質を落とさないことを重視し、2011年10月から修理作業のさまざまな改善を進めてきた。2012年2月時点では、修理品が届いたその日に修理して発送を完了する比率は87.8%に到達した。翌営業日に発送する比率は95%以上を維持している。

 作業短縮のための改善点は複数ある。まず製品を配送業者から受け取る着荷の時間を早くした。従来、配送業者によっては朝の9時30分まで着荷の作業をしていたが、朝8時30分までと前倒しした。

 次に、修理する場所を特定するための診断ツールを改良した。ハードディスクやメモリーの検査、CPU負荷をかけるテストの処理を効率化して、従来は約3時間30分かかっていた作業を約2時間で終わるようにした。

 そのほか、修理担当者が参照するナレッジデータベースを強化したり、複数の修理品に対してOSインストールの作業を効率化するためにストレージサーバーを増やしたり、修理部品を倉庫から配送する手順を効率化したり、といった改善も進めた。

 実際の修理を進める上では、可能な限り午前中に修理箇所の診断と修理の作業を完了させている。「昼休みに、無人で実行できる検査作業やインストールの作業を開始して、時間を有効に使う」(作業員)ためだ。

 修理の担当者が、製品の改善ポイントや保守のしやすさについてパソコンの開発部門にフィードバックする取り組みも実施している。例えば、液晶一体型のデスクトップパソコンの場合、2006年のモデルでは、液晶ディスプレイを交換するためにはねじを110本外す必要があり作業に45分かかった。現在ではねじは34本となり、15分で作業が完了できるようになった。

 2012年4月からは、修理後のアンケートをWebページ上で回答できるようにする。従来は紙のはがきで集めていた。こうした細かい改善を重ねてユーザー満足度の向上につなげていく考えだ。