図1 設備を集中監視
図1 設備を集中監視
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図2 システムの全体構成
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 ジャパンケーブルネット(JCN)は2012年3月27日、設備の安定稼動とサービス品質の強化を目的に、ケーブル網の監視体制を一新するとともに、ケーブル網監視用の新システムを導入すると発表した。ネットワーク本部の中に、監視センターを4月1日付で新設し、これまで別々に監視していた基幹設備とグループ局設備を、この日から一括監視する体制とする(図1)。監視センターは、まず24人体制でスタートする。

 新たに導入するのは、JCNの上位ネットワークからグループ局にいたるネットワークをエンドツーエンドで集中監視するシステムである。「映像音声監視システム」(K-WILLの製品)と「放送信号品質監視システム」(SCSKの製品)から構成される(図2)。

 映像音声監視システムは、信号を送り出すJCN基幹設備側に設置する。ここでは、視聴者と同様の目線で、番組の体感品質の監視を行う。再生した映像信号を監視し、ブロックノイズやフリーズ、ブラックアウト、無音、音声ノイズを検出する。

 基準画像との差異を検出する映像音声監視システムについては、地上放送局などで採用実績がある。ただし、今回導入するのは基準画像を使用せずに評価画像だけから品質評価を行うシステムである。

 配信する画像のクオリティが確保できていることを確かめたあと、正しく伝送されていることをチェックする役目を担うのが放送信号品質監視システムである。このシステムはJCNの基幹設備に加えて、中継点やグループ局のヘッドエンド機器に設置する。信号レベルや信号品質に加えて、番組の有無などを確認できる。光伝送装置から電気信号を受け取り、各OFDM波を順番に復調して品質をチェックすることで、低コスト化を図る。検出した信号の各種状態は、センターにフィードバックする。

 こうした監視を行うセンターは、洪水や高波の影響を受けない立地環境で、震度7クラスの地震に対応する免震構造ビルに設置する。JCN基幹設備のあるデータセンターであり、複数系統の商用電源および非常用発電設備を持つ。

 なお、今後は2012年度以内に、JCNグループ局ごとに導入しているケーブルモデムの監視装置を統合し、加入者管理システムと連携させる計画。これにより、障害時に障害エリアや建物を瞬時に特定し、迅速な対応が可能という。また今回導入した映像音声監視システムと放送信号品質監視システムの監視対象範囲は各局のヘッドエンドまでだが、「加入者回線区間において、データ回線と映像部で別々に障害が発生するケースはまれ」といい、ケーブルモデムを監視装置を統合することで相当の精度で末端まで監視システムを統合できるという。

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