今後、ネットサービスの主役となっていくのはモバイル端末用のアプリケーション(モバイルアプリ)か、それともWebブラウザーを中心としたインターネット利用が続くのか――。こうした議論が高まるなか、多くの技術者はWebの繁栄が続くと考えていることが米国の調査機関Pew Research Centerが現地時間2012年3月23日に公表したレポートで明らかになった。

 それによると、調査対象となった技術者や専門家の35%が、2020年には大半の人々がモバイルアプリを利用してインターネットに接続し、コンテンツを楽しんだり、仕事をしたりすると答えた。一方で59%は、Webはかつてないほど人々の生活に重要なものになり、コミュニケーション、仕事、コンテンツ作成の中心であり続けると答えた。

 Pew Research Centerによると、Webの繁栄が続くと考える技術者や専門家であっても多くがモバイルアプリの利点を認めているという。モバイルアプリは用途を絞ったことで利便性が高まり、製品やサービスの収益化をもたらした。そうしたうえで専門家らは「モバイルアプリは、クラウドコンピューティングの技術革新をもたらし、ひいてはWebの進化を促進させる」と考えているという。

 またPew Research Centerは調査で、個々の用途に特化したモバイルアプリは“もろ刃の剣”だとする意見も聞かれたと報告している。例えば「モバイルアプリは簡素で便利だがその半面、閉鎖的であり予期せぬものを発見をする機能が欠けている。Webとは発見であり、それを失えば人類の知的活動の進化を後退させることになる」(ベンチャーキャピタリストのRichard Titus氏)といった意見である。

 調査は、2011年8月28日~10月31日にインターネット関連の技術者・専門家を対象に行い、1021人の回答を集めた。

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