総務省は2012年3月23日、NTTグループの事業会社4社が電気通信役務の料金などの業務をNTTファイナンスへ移管することに関連して、各社が講ずべき措置について要請を行ったと発表した。

 NTT東日本、NTT西日本、NTTコミュニケーションズおよびNTTドコモの各事業会社、NTT(持ち株会社)、NTTファイナンスは、2012年2月2日に各事業会社が提供する電気通信役務の料金などの債権について、同年7月以降NTTファイナンスへ譲渡し、同社から請求することを発表した。これに対し、電気通信事業者など66社・団体は総務大臣に対し連名の要望書を提出、公正競争上の懸念を示していた。また、総務省においてもNTT(持ち株会社)を通じその事実関係など確認を行った。

 総務省は確認の結果、NTT法(日本電信電話株式会社等に関する法律)によるあまねく電話の役務の提供に関わる責務などの規定や、電気通信事業法による料金規制や消費者保護ルール、市場支配的な電気通信事業者に対して課されている行為規制などの趣旨を引き続き確保する観点から、課題が認められるとした。そこでNTTグループの事業会社各社が料金業務を移管する場合に、これら規制の趣旨が引き続き確保されるように各社で講ずべき措置について要請したという。

 事業会社各社への要請内容を見ると、まず「料金業務会社との間における役員兼任及び在籍出向を行わないこと」を4社に求めた。他の各事業会社との間の実質的な一体経営による営業情報の流用などが行われないようにするためという。

 料金業務会社との間で行われる料金業務に関わる取引について、この取引を通じた料金業務会社への実質的な補助、または各事業会社相互間の実質的な補助が行われないようにすることを目的とする措置も用意した。例えば、料金などに関わる債権の譲渡を行うときは、譲渡した債権の額と同額の対価を支払わせることなどを求めている。

 また、事業会社各社に「料金業務会社に対し、電気通信役務の販売業務など他の業務を委託しないこと」「料金業務会社に独自の顧客情報など管理システムを構築させること」なども求めた。その他、各事業会社には、合計で8~11項目の措置を要請した。

 NTTファイナンスに対しては、各事業会社から債権を譲り受けることに伴って顧客情報その他の情報の提供を受けるときは、個人情報保護に関する法律などの関係法令を遵守するよう求めた。