米司法省(DOJ)は現地時間2012年3月22日、米AT&TがIPリレーサービスの助成金を不正に請求したとして同社を提訴したことを明らかにした。

 IPリレーサービスは聴覚などに障害を持つ人のための電気通信リレーサービス(TRS)の一つで、利用者はインターネット対応端末でテキストメッセージを入力し、オペレーターがテキストを読み上げて相手に伝える。聴覚障害者には無償で提供され、費用は電話利用者全体が負担している。米連邦通信委員会(FCC)からはTRS基金を通じて、1分当たり約1.30ドルの助成金がサービスプロバイダーに交付される。

 FCCは2009年に、国外の詐欺者が盗んだクレジットカードで商品を購入するのに同サービスを不正使用することを防止する目的で、利用者の正確な氏名と住所の確認を義務づけた。

 しかしDOJの主張によると、AT&Tは同サービスの利用者が資格要件を満たしているか確認するシステムを故意に導入せず、また、資格のない国外の詐欺者が同サービスを利用しやすい従来の仕組みを変更していなかった。AT&TのIPリレーサービスの最大95%を国外の詐欺者による通話が占めているという。「AT&TはTRS基金に不当請求し、政府から数百万ドルを不正に受け取った」とDOJは非難している。

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