写真1●NECの遠藤信博社長
写真1●NECの遠藤信博社長
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 NECは2012年3月22日、通信事業者向けビジネス支援システム(BSS)ベンダーである米コンバージズを買収すると発表した。買収金額は約4億5000万米ドル(約375億円)。2012年4~6月期に買収を完了する。

 NECはBSSベンダーを傘下に収めることで、海外の通信事業者向け事業の拡大を狙う。同社は2008年6月に運用支援システム(OSS)ベンダーの米ネットクラッカー・テクノロジーを買収している。遠藤信博社長(写真1)は「OSSとBSSを統合した『次世代OSS/BSS』に関するニーズが高い」とする。両者の既存ユーザーに対してクロスセルを仕掛けるとともに、OSS/BSSを統合した新しいソリューションを開発する計画だ。

 コンバージズはネットクラッカーの一部門となる。両者を統合した2012年度の売上高は5億米ドル(約416億円)を見込む。2016年度には売上高10億米ドルを目標とする。また、現在のコンバージズのBSS市場でのシェアは5%、ネットクラッカーのOSS市場でのシェアは9%だが、2016年にはOSS/BSSを合計した市場でシェア10%を目指す。

 OSS/BSS領域については、スウェーデンのエリクソンが2011年6月にOSS/BSSベンダーの米テルコーディア・テクノロジーズを買収するなど海外でも動きが活発だ。同社はアウトソーシングサービスも請け負うなど、通信機器からOSS/BSS、運用サービスまで通信事業に必要な要素をまとめて提供している。今回のNECによるコンバージズの買収も、そうした通信機器メーカーを取り巻く流れの一つと見られる。