写真1●WAN高速化装置を介してSaaSを高速化するデモンストレーション
写真1●WAN高速化装置を介してSaaSを高速化するデモンストレーション
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 リバーベッドテクノロジーは2012年3月22日、インターネット上のSaaSアプリケーションを、同社のWAN高速化手法を使って高速に利用できるようにするサービス「Steelhead Cloud Accelerator」を提供開始した。ユーザー企業のWAN高速化装置が、アカマイのネットワーク上に用意したWAN高速化装置と対向で通信する仕組み。価格は、利用するSaaSの利用料金の15~30%程度。

 Steelhead Cloud Acceleratorは、WAN高速化装置「Steelhead」の機能拡張オプションであり、Steelheadからアカマイのネットワークを利用できるようにするもの。アカマイのネットワーク上に配置されているSteelhead(仮想アプライアンス版)との間で対向通信し、これによってWAN越えの通信を高速化する。アカマイ側のSteelheadは、ユーザーごとに固有のものを用意する。

 アカマイ側のSteelheadは、ユーザーが利用するSaaSアプリケーションの手前に配置されている。このため、本来であればユーザー自身で管理することが不可能なインターネット上のSaaSアプリケーションでありながら、あたかも自社データセンター上のアプリケーションを利用するかのように、WAN高速化装置を適用した通信が可能になる。

 サービス開始当初に利用できるSaaSは、(1)Google Apps、(2)Salesforce.com、(3)Office 365、の3種類に限る。Steelheadの設定画面で、どのアプリケーションを利用するのかを指定する。SaaSを提供するデータセンターのロケーションは問わず、インターネット上のどこにSaaSアプリケーションが配置されていても、WAN高速化装置を介して通信を高速化できる。

 記者発表会では、実際にSaaSを高速に利用できることをデモンストレーションしてみせた(写真1)。SaaSのデータセンター(米国)から会場(東京)に、PowerPointファイルをダウンロードして、時間を計測した。アカマイとWAN高速化を使わない場合に53秒かかった時間が、アカマイとWAN高速化を利用することによって3秒へと短縮された。このデモでは、データがキャッシュされていたわけではなく、データ圧縮などの効果によるものという。

 なお、前提となるSteelheadは、WAN高速化装置である。WAN経由の通信をLAN並みの体感性能で使えるようにする。ネットワーク対向型で利用することによって、これらの間の通信を最適化し、ネットワーク遅延によるアプリケーション性能の劣化を回避する。具体的な手法は、データキャッシュやデータ圧縮、TCPコネクション集約などを中核に、ファイル共有(CIFS/NFS)やExchange Serverなど特定アプリケーション向けのプロトコル最適化などを組み合わせている。