電子機器・部品の市場調査会社、米IHS iSuppliは現地時間2012年3月16日、米Appleの新型「iPad」の実機を分解して調査した原価分析結果を発表した。それによると、希望小売価格が729ドルのLTE対応版32Gバイトモデルは、BOM(Bill of Material:部品表)に基づく部品原価が364.35ドルで、製造コストを含めると375.10ドルになる。

 つまり、新型iPadの部品原価は販売価格のほぼ50%を占めており、同じ価格で発売された前モデルのiPad 2(3G版32Gバイトモデル)の部品原価、335ドルと比べると約9%上昇している。部品原価を上昇させた主な原因は、解像度を高めた「Retina」ディスプレー、LTE対応、バッテリーの大容量化だと同社は分析している。

 LTE対応版32Gバイトモデルで最も高い部品はディスプレーで、その推定原価は87ドル。部品全体の24%を占めている。IHS iSuppliが分解した実機のディスプレー供給メーカーは韓国Samsung Electronicsだった。

 次に高いのはLTE関連部品で推定原価は41.50ドルと、部品全体の11.4%を占めている。iPad 2の3G通信部品の原価である25.60ドルから著しく上昇したとIHS iSuppliは指摘している。また同社は、タッチスクリーンの原価が40ドル、バッテリーの原価が32ドル、A5Xプロセッサが23ドルであるとそれぞれ推定している。

 なおこのうちSamsungがディスプレーのほか、A5Xプロセッサなどを供給しており、同社製品の部品原価全体に占める割合は30.2%になる。IHS iSuppliが分解した実機には、東芝製のNAND型フラッシュメモリーが入っていたが、SamsungもNANDフラッシュメモリーの供給業者となっていることから、その場合Samsung製品の部品原価全体に占める割合は39.4%になる。さらにIHS iSuppliは「まだ確認は取れていない」としながらも、Samsungがバッテリーセルを供給していると考えており、もしその予想が正しければ新型iPadに占めるSamsung製部品の割合はほぼ50%になるとしている。

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