米Googleが米Appleの「Safari」ブラウザーを通じてユーザーのオンライン行動を追跡していた問題で、米国および欧州当局が調査を始めていることが、米メディアの報道から明らかになった。これを受け米消費者保護団体のConsumer Watchdogは現地時間2012年3月16日、当局の行動を歓迎する声明を発表した。

 この問題は、米スタンフォード大学セキュリティ研究所の大学院生が2月17日に公表した調査結果から明るみに出た。調査によると、Googleのほかオンライン広告3社がSafariユーザーのWeb履歴を追跡していたという。Safariはデフォルト設定でサードパーティーのクッキーを拒否するオプションを有効にしているが、特定の条件ではサードパーティーのクッキーを受け入れるようになっている。Googleはこの例外事項を利用する手法でクッキーを埋め込んでいた。SafariはAppleのパソコン「Mac」をはじめ、モバイルデバイス「iPhone」や「iPad」の主要ブラウザーとして標準搭載されている。この問題を受け、米下院議員やConsumer Watchdogなどは米連邦取引委員会(FTC)に対してGoogleへの調査を要請する公開書簡を送っていた(関連記事:GoogleがSafariのWeb履歴を追跡していた問題で、米議員がFTCに調査要請)。

 米Wall Street Journalが報じたところによると、米国ではFTCが調査に乗り出し、Googleの今回の行為が2011年にFTCと合意したプライバシー関連の和解要件に違反していないかどうか精査している。違反が認定された場合、Googleには1日当たり違反1件につき1万6000ドルの罰金が科される可能性がある。そのほか、ニューヨーク州やコネチカット州などもこの問題について調べているという。

 欧州では、フランスのデータ保護に関する監督機関である情報処理・自由全国委員会(CNIL:Commission nationale de l'informatique et des liberte)が調査している。CNILはGoogleが3月1日から実施しているプライバシーポリシー改訂に関しても欧州全域で調査を進めており、プライバシー設定回避の問題を調査対象に追加した。なおCNILは、Googleのプライバシーポリシー改訂は「データ保護指令に違反している」との見解を明らかにしている(関連記事:フランス当局、「Googleの新ポリシーはデータ保護指令に違反」との仮判断)。

 Consumer WatchdogワシントンD.C.局長のCarmen Balber氏は声明で、「Googleのエンジニアは、公衆の個人情報を性急かつぞんざいに扱っている。FTCの行動は、同社が公衆に対する約束を守らなければその報いを受けるということを認識させる重要な意味を成す」と述べている。

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