総務省は2011年3月16日、2011年11月時点のインターネットトラフィックの推計値を発表した。それによるとダウンロードトラフィックの総量は推計で1.7T(テラ)ビット/秒(1696Gビット/秒)となり、前回測定時(2011年5月時点)に比べて11.9%増えた。
同省は国内プロバイダー(ISP)6社などの協力の下、毎年5月と11月の国内ブロードバンドサービス契約者の1日当たり平均トラフィック総量を推計し、半年ごとに数値を公表している。過去2年ほどのダウンロードトラフィックは以下のように推移している。2009年11月は1.2Tビット/秒(その前の半年に比べて9.4%増)、2010年5月は1.24Tビット/秒(同2.4%増)、2010年11月は1.36Tビット/秒(同10.4%増)、2011年5月では1.5Tビット/秒(同11.2%増)。2009年後半から2010年前半にかけては一時的に伸びが鈍化したが、その後は急速に増えている(図1のグラフ中の赤い線)。
一方対照的に、アップロードトラフィックの推計は2011年11月時点で669Gビット/秒となり、2009年11月の835Gビット/秒をピークに、年々減少している(図1のグラフの青い線)。
同省は、トラフィック総量の推計値とブロードバンドサービス契約数(2011年9月時点の数字)に基づいて、ブロードバンド1契約当たりのトラフィックも推計している。ダウンロードは48.8kビット/秒、アップロードは19.3kビット/秒だった(図2)。これを見てもダウンロードトラフィックは2010年後半から急速に増え、アップロードトラフィックは2009年後半から減りつつある。
同省はアップロードトラフィックの減少傾向について、「映像や音楽コンテンツの入手方法が、P2Pから映像配信などのWebサービスへ移行したことなどが背景と考えられる」とコメントしている。
プロバイダー同士で交換されるトラフィックに関しては、国外のプロバイダーから、調査に協力している国内プロバイダー(国内協力プロバイダー)に流れ込む流入トラフィックが流出トラフィックに比べて2.9倍となり、この差は、年々広がる傾向にある(図3の左のグラフ)。2011年11月時点で、国外プロバイダーから国内協力プロバイダーに流れ込むトラフィック量は498.5Gビット/秒。一方、国内協力プロバイダーから国外プロバイダーへのトラフィックは169.6Gビット/秒だった。
なお、同省のトラフィック調査は数年間にわたり継続的に実施されているが、2011年5月のトラフィック量(2011年9月に発表された前回の調査)から計算方法が変わったため、それ以前の発表資料に掲載されていたデータと比較する際は注意が必要だ。従来は「主要IXにおける国内協力プロバイダーのトラフィックシェア」を総トラフィック量の算出に利用していた。しかし2011年5月時点の総計からは、「国内協力プロバイダー6社が国内ブロードバンド総契約数に占める割合」をベースに推計することになった。
これは、近年はIXを経由せずプロバイダー同士でピアリングするケースが増えるなどで、主要IXでのトラフィックシェアを計算に組み込むと、実態と異なる数値になる恐れが出てきたためだ。そこで、前回ならびに今回発表されたトラフィック総量の数値では、グラフなどに含まれる過去のデータも遡って、新しい計算方法にのっとって算出されている。
[発表資料]