米Encyclopaedia Britannicaは現地時間2012年3月14日、全32巻におよぶ「Encyclopaedia Britannica(ブリタニカ百科事典)」の印刷を終了すると発表した。在庫がなくなった時点で廃版となる。デジタル版の百科事典は引き続き手がけていく。同社は何年も前からデジタル版と教育機関向け製品に焦点を移しており、今回の判断はその一環だとしている。

 ブリタニカ百科事典は、1768年にスコットランドのエジンバラで初版が発行された。1970年代にデジタル化を検討し始め、1981年に最初のデジタル版を米LexisNexis向けに作成した。1989年にCD媒体で、1994年にインターネットで初めてリリースした。

 同社社長のJorge Cauz氏は、「印刷板の廃止はしばらく前から見越していたことだ」と述べている。同社公式ブログの投稿記事には、「今回の発表は、当社の過去に関することではなく、未来に向けたもの」との同氏の言葉が掲載されている。

 Cauz氏によれば、デジタル版百科事典は印刷版よりコンテンツが膨大で、継続的にアップデートされている。最近では、米Appleのモバイルデバイス「iPad」「iPhone」「iPod touch」から百科事典の全コンテンツにアクセスできるアプリケーションをリリースした。

 なお米メディアの報道(Wall Street Journal)によると、印刷版ブリタニカ百科事典は1990年に販売した12万部をピークに、以降は発行部数が急速に低下した。2010年は1万2000部のみ印刷したが、現在3500部が在庫として残っている。

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