写真1●米ガートナーリサーチ、バイスプレジデント兼最上級アナリストのアリー・ヤング氏
写真1●米ガートナーリサーチ、バイスプレジデント兼最上級アナリストのアリー・ヤング氏
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 「情報システムは、専有から共有へとシフトする。ユーザーが利用するITサービスは工業化が進み、構築済みのアプリケーションを利用するようになる」---。

 2012年3月14日、米ガートナー リサーチ部門のバイスプレジデント兼最上級アナリストであるアリー・ヤング氏(写真1)が来日し、東京のガートナー本社で情報システムを取り巻く変化について語った。

 ヤング氏はまず、技術の変化、ユーザー/ベンダーの動向、ITサービス市場の動向、などに触れ、それぞれのトレンドを俯瞰してみせた。その上で、クラウドをベースとしながらもカスタマイズの要素を残した今後のITの姿を指し示した。結論として、ベンダーによる競争が激化する中、ユーザーは現状よりも適したサービスを選択できるようになっていく、と述べた。

 技術面では、情報システムはクラウドへの依存が進み、情報や資産が企業外にあるのが当たり前になりつつあるという。ユーザーは「資産を所有する必要があるのか」と自身に問いかけるようになる。

 一方でベンダーは、ユーザー側に入り込んでいくために、ユーザーが所属する業界の知識などを今以上に身に付ける。こうしてユーザーは、より良いベンダーやサービスを選べるようになっていく。

 ITサービス市場の変化については、2009~2015年までは年平均成長率4.3%で緩やかに成長する、と指摘する。この値は2001~2008年の6.3%と比べると、2ポイントも低い。ITの工業化などによってサービス費用が下がることなどが要因という。しかしヤング氏によれば、工業化が進んでも、需要がある限り、情報システムのカスタマイズは可能であり続ける。