日本OSS推進フォーラムは2012年3月13日、「第7回 日本OSS貢献者賞」および「第7回 日本OSS奨励賞」の受賞者を選定した。日本OSS貢献者賞に法林浩之氏や平松雅巳氏ら4人、日本OSS奨励賞の個人部門に中学生開発者の福森匠大氏や矢倉大夢氏ら5人、団体部門に日本Rubyの会やsinsai.info、下北沢オープンソースCafeが選ばれた。

 「日本OSS貢献者賞」は、影響力のあるオープンソースソフトウエア(OSS)開発プロジェクトを創設・運営した開発者や、世界的なプロジェクトで活躍する開発者、OSSの普及に貢献した人物を表彰する賞。2005年度に創設され、今回が7回目となる。「日本OSS奨励賞」は、最近OSSの開発や普及に顕著な活躍をした若手などの個人やグループを表彰する賞。2009年度に創設され、今回が3回目となる。

貢献者賞に法林浩之氏や平松雅巳氏ら4人

 日本OSS貢献者賞の受賞者は川口耕介氏、平松雅巳氏、法林浩之氏、森啓介氏の4人。

 川口耕介氏はアジャイル開発に重要なCI(Continuous Integration)ツールであるJenkinsの開発者。

 平松雅巳氏はLinuxシステムの障害解析機構・トレーサのLKST、SystemTap、Ftraceや性能プロファイラPerfの開発に取り組んできたLinuxカーネル開発者。

 法林浩之氏は日本UNIXユーザ会幹事としてOSS関連イベントの開催を継続的に続けてきた。

 森啓介氏はHA(High Availability)クラスタソフトHeartbeat/Pacemakerのステアリングコミティメンバー、パッチメンテナなどの中核的な役割を担っている。

奨励賞個人部門は中学生のRubyやLinuxカーネル開発者ら5人

 日本OSS奨励賞個人部門の受賞者は井上敬浩氏、木下靖文氏、福森匠大氏、矢倉大夢氏、山本裕介氏の5人。

 井上敬浩氏はNoSQLデータベースMongoDBのユーザーグループ Mongo Tokyoを主催し、日本における同ソフトの普及に貢献してきた。

 木下靖文氏はMySQLのストレージエンジンのInnoDBの性能改善や技術情報の発信に取り組んできた。

 福森匠大氏は2011年に当時中学2年生の最年少Rubyコミッター(Rubyのソースコード改変権限を持つ中核開発者)になり、また震災復興情報集約サイトsinsai.infoでも重要な開発メンバーとして情報収集機能を開発した。

 矢倉大夢氏は中学3年生ながら、セキュリティ&プログラミングキャンプなど通じてLinuxカーネルの内部構造と開発方法を習得、カーネル開発コミュニティに機能向上を提案し、採択されている。

 山本裕介氏はJava向けのTwitter APIアクセスライブラリであるTwitter4Jを開発し、世界的に利用されている。

奨励賞団体部門は日本Rubyの会、sinsai.info、下北沢OSS Cafe

 日本OSS奨励賞団体部門の受賞者は3グループ。

 下北沢オープンソースCafeは、OSSやコミュニティ活動に興味のある人々の交流の場として多くの人々の出会いを生んでいる。

 sinsai.infoは、OSSのUshahidiを活用した、ボランティアによる震災復興情報サイト。震災後わずか4時間で立ち上がり、1万3000件以上の情報を掲載した(関連記事)。100人を超える多くのOSS開発者と200人を超える情報登録ボランティア一同が受賞した。

 日本Rubyの会は「日本Ruby会議」を支えるなど、Rubyの普及に大きく貢献してきたコミュニティ。2011年8月に一般社団法人として新しい形での活動を開始した。

 授賞式は2012年3月16日にイベント「オープンソースカンファレンス2012 Tokyo/Spring」で開催される。