写真1●ioDrive2の外観
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写真2●ioDrive2の実物を紹介する、米Fusion-ioで最高経営責任者兼会長を務めるデイビッド・A・フリン氏
写真2●ioDrive2の実物を紹介する、米Fusion-ioで最高経営責任者兼会長を務めるデイビッド・A・フリン氏
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 東京エレクトロンデバイス(TED)は2012年3月13日、サーバー機のPCI Express(PCIe)バスに接続して使う高速な半導体ストレージ「ioDrive」の新版「ioDrive2」(写真1)を出荷した。2011年1月に出荷した従来版と比べ、容量と性能を倍増させたほか、価格を3割ほど減らした。価格は、最安価となる容量365GバイトのMLCモデルで70万円程度。開発会社は、米Fusion-io。

 ioDrive2は、PCIeバスに接続して使うI/Oカード型の形態に、半導体ストレージ(NANDフラッシュメモリー)を搭載したストレージ。専用のドライバソフトを動作させたサーバーから、高速なローカルストレージとして利用できる。PCIeに直結し、SAS/SATAなどの汎用コントローラを介さないため、アクセス遅延時間やデータ転送バンド幅において、HDD/SSDよりも性能が高くなる。デバイスドライバの稼働OSは、Windows、各種Linux、各種UNIX、Mac OS Xなど。

 ioDriveの主な用途は、データベースサーバーやコンテンツ配信サーバーなど、ストレージI/Oがシステムのボトルネックとなるケース。東京エレクトロンデバイスでは、「市場には、ioDriveを導入するだけでストレージI/Oのボトルネックを解決してしまうのはエンジニアとして甘えである、という声が大きいが、簡単に解決できるのであれば解決すべき」と主張する。製品発表会では、動画配信のフロントエンドサーバーにioDriveを導入したドワンゴが登壇し、サーバー台数やストレージを削減できた例を紹介した。

 今回の新版では、利用しているNANDフラッシュメモリーを、より微細な設計プロセスで作られた新しい部品に変更した。これにより、コスト当たりの容量を増やし、実売価格を3割ほど下げた。例えば、既存の最安価モデル「ioDrive 160GB」(SLC、160Gバイト)の価格は100万円程度だったが、新版の最安価モデル「ioDrive2 365GB」(MLC、365Gバイト)は70万円程度である。SLCモデルはMLCモデルよりも容量当たり約2倍のコストがかかることを加味しても、価格が下がっている。

 新版では、ソフトウエアの改善などによって性能も高めた。例えば、既存モデルの「ioDrive 320GB」(MLC)と、新版の「ioDrive2 365GB」(MLC)の比較では、アクセス遅延時間が29μ秒から15μ秒へと半減した。I/O性能は、リードが10万IO/秒から13万6000IO/秒へ、ライトが14万1000IO/秒から47万5000IO/秒へと向上した。データ転送帯域は、リードが735Mバイト/秒から900Mバイト/秒、ライトが510Mバイト/秒から575Mバイト/秒へと向上した。

 新版の製品ラインアップは、以下の通り。MLCモデルは、「ioDrive2 365GB」、「ioDrive2 785GB」、「ioDrive2 1.2TB」、「ioDrive2 Duo 2.4TB」の全4製品。SLCモデルは、「ioDrive2 400GB」、「ioDrive2 600GB」、「ioDrive2 Duo 1.2T」の全3製品である。大容量モデルの「ioDrive2 Duo」は、帯域幅やIO/秒の性能を2倍に増やしたモデルであり、PCI Express x8で接続する(他のioDrive2はPCI Express x4)。

 出荷時期は、MLCモデルが発表と同じ2012年3月13日(ただし、最安価の365GBモデルは2012年4月に出荷)。一方、SLCモデルは2012年6月に出荷する。