経営コンサルタントの大前研一氏が学長を務めるビジネス・ブレークスルー大学は、2012年6月にERPを活用した経営管理講座をスタートさせる。ERP活用を通じて学生が企業全体のビジネスプロセスを学び、経営改革手法を体得できるよう促す。

 ビジネス・ブレークスルー大学はオンライン教育に特化した大学で、2010年に開学した。「ERPシステムとビジネスプロセス」と題した新講座はITソリューション学科の3回生向けの15回のプログラムで、架空の菓子メーカーの経営改革のケーススタディーを教材として利用する。その過程で独SAPのERPを実際に利用し、学生が入力した受注データが、販売、生産、会計、人事などの各システムでどのように処理されていくかを学ぶ。「エアキャンパス」と呼ぶeラーニングシステムを使って、講義を受講し、学生や教授が意見を交換する。

 同講座を担当する酒井哲夫教授は、大阪の追手門学院大学などでSAPのERPを使った講義を実施している。追手門学院大学の講義は、ERPの使い方を学んだことを学生が就職時のアピール材料にするなど、就職支援の目的も強かった。

 これに対しビジネス・ブレークスルー大学の学生は、企業に勤務している社員も多い。普段の仕事でERPを使った経験がある学生も多いと予想されるが、「全社でどのように経営情報が活用されるかを体感することで、自分の担当業務にとどまらない経営システム全体を理解する一助になる」と酒井教授は見ている。

 SAPは「SAP University Alliance Program」と呼ぶ大学向けの授業支援プログラムを全世界で1000以上の大学に提供している。ビジネス・ブレークスルー大学は、豪クイーンズランド工科大学のホスティングサービスを介してERPを利用する。