米Yahoo!が現地時間2012年3月12日に、カリフォルニア州サンノゼの米連邦地方裁判所に米Facebookを特許侵害で提訴したことが明らかになった。初のソーシャルメディア大手同士の法廷闘争になると、英メディア(Reuters)は報じている。

 Yahoo!は2月末に、Facebookに同社特許の使用についてライセンス料の支払いを求め、応じなければ訴訟に持ち込むことを示唆していると報じられていた(関連記事:Yahoo!がFacebookに特許ライセンス料支払いを要求、訴訟を示唆---米欧メディアの報道)。

 ファイル共有サービス「Docstoc」で公開された訴状によると、Yahoo!が今回問題にしているのは、広告モデル、プライバシー設定、カスタマイゼーション、メッセージング、ソーシャル機能に関連する10件の特許で、「Facebookがベースにしている多くの技術に関して、それを最初に発明したのは当社である」と主張している。また「FacebookはYahoo!の知的財産にただ乗りした期間に獲得した市場シェアの利得を今後も享受することになる」と非難し、ロイヤリティ料の支払いだけではYahoo!が被った損失を補えないとして、損害賠償を求めている。

 米Wall Street Journalの技術系サイト「 AllThingsD.com」が関係者から得た情報によると、Yahoo!の強硬姿勢の中心となっているのは今年1月に最高経営責任者(CEO)に就任したScott Thompson氏だという。先月末の報道以来、社内でこの問題について協議が行われ、多くの技術担当幹部が提訴に反対したが、ほとんどThompson氏と法務顧問のMichael Callahan氏だけで訴訟準備が進められた。

 Facebookは2月1日に上場申請の書類を米証券取引委員会(SEC)に提出しており(関連記事:FacebookがIPOを申請、目標調達額は最大50億ドル)、5月に新規株式公開(IPO)を実施すると見られている。Yahoo!が上場間近の企業を訴えるのは、これが初めてではない。2004年に、同社子会社Overtureの広告販売関連の特許を侵害されたとして米Googleを訴えた。両社はGoogleが上場する約10日前に和解で合意している(関連記事:米Googleが米Yahoo!と2件の訴訟で和解に、Class A普通株で和解金を支払う )。