沖電気(OKI)は2012年3月12日、「適応ネットワーク構成技術」を開発し、既存のGE-PONシステムと次期大容量光アクセスの10G-EPONシステムの経路切替実験に成功したと発表した。局装置(OLT)とユーザー装置(ONU)の接続を仮想化することで、100km圏級のユーザーが低価格で超高速のブロードバンドを利用できるようになるという。

 OKIは、不採算地域におけるデジタルデバイドや、伝送容量などの変化に柔軟に対応できる高い適応性が求められるといった課題を解決するため、局装置(OLT)とユーザー装置(ONU)の接続を仮想化し、新規に交換局を設置せずに広域なサービスエリアに対応できる「適応ネットワーク構成技術」の確立に取り組んできた。

 NTT(持ち株会社)の協力により、北海道札幌、恵庭、千歳の各NTT東日本ビルを光ファイバーで結び、総伝送距離100km級の広域加入者系光ネットワークを模擬したテストベッドを構築して実証実験を行った結果、柔軟な光アクセスシステムが実現できることを実証したという。

 今回OKIが開発した「適応ネットワーク構成技術」には、局装置(OLT)とユーザー装置(ONU)の接続を柔軟にする独自開発の光ハイブリッドフィルター(OHF)技術と適応ネットワーキング技術を組み込んだ。OHFは、これまでメトロ・コアネットワークで利用されていた波長分割多重(WDM)に加え、光符号分割多重(OCDM)を組み合わせることで160chの多重信号からのAdd/Dropが可能となる多重数拡大技術を実現し、これまでの波長フィルターより透過損失の低いフィルターを実現したという。

 また、適応ネットワーキングは、これまでパワースプリッターで分岐していたPONシステムを集中制御ノードとパッシブなOHFを用いてリングやカスケード状に接続してネットワークインフラを構成する。この構成により分岐による損失を低減する広域化技術を実現し、集中制御ノードによりWDMおよびOCDMのチャネル割当を制御することで、OLTとONUの接続を物理接続に関わらず論理的なスター状となる仮想化技術を実現した。

 適応ネットワーク構成技術は広域なエリアにおいて、様々なサービス形態に応じた効率的な運用を実現できるという。この実験では、WDMとOCDMのハイブリッド光信号の伝送、パッシブなルーティングによる既存GE-PONシステムにおける線路障害の面的な冗長切替、および既存GE-PONから10G-EPONへのサービス切替を、他ユーザーに障害なく実現できることを確認したという。

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